束縛癖から一転、さらに豹変した年下の夫
「私は濃厚接触者になり出張は直前キャンセル、看病をしていたら数日後に私も感染しました。100歩譲って、ここまでは仕方ないと思います。
でも驚いたのが……私がコロナの症状が出始めたタイミングで彼は回復していましたが、私をマンスリーの部屋に残して、自分はさっさと自宅へ戻り日常生活を始めたんです」
ここまであまり触れませんでしたが、早苗さんは国立大学を卒業し大手企業に就職してキャリアを積み、現在はベンチャー企業の役員をしている、いわゆるバリキャリの優秀な女性。そんな妻に対し、大事な出張前の配慮や罪悪感はなかったようです。
「私は彼より症状が重く、何日も高熱が続き、その後も体力が回復せず2週間以上療養することになりました。その間、彼は看病もせず、私を大して労る様子もなく。これまでの鬱憤も溜まっていて、一度かなり感情的に彼に怒りをぶつけたんです。そしたら、返ってきた言葉が……」
ーーコロナにかかったくらいで、ごちゃごちゃ言うなよ。
束縛や借金など、お話を聞く限りでは早苗さんにかなり甘えている印象の元ご主人ですが、執着を見せるわりに、妻への思いやりが全く感じられません。
この間、彼は看病もしない代わりに束縛癖も治まっていたそうですが、ひょっとすると、早苗さんの具合が悪く家に籠っているならば、いつものように監視や束縛をする必要はないと考えたのかもしれません。
これは相手への愛と表面的には見せかけて、おそらく自己愛が強いのでしょう。こうした自己中心的な行動には冷静に対応し、振り回されないのがベストではありますが、実際そうも行かないのが男女の情……。
そしてこの頃から、夫婦の形勢が逆転し始めたそうです。
「ケンカ状態が続くうち、別れるのは嫌だと散々騒いでいた彼が、『もともとお前と結婚なんかしたくなかった、離婚しよう』『もう会いたくもない』と言い始めたんです。
離婚したいと言い始めたのは私ですし、たしかに夫婦関係は最悪、別居も続いてる状態です。なので本来なら前向きな流れだったはずですが……今度は私が『やっぱり別れるのは寂しい』となってしまったんです。この時、軽いコロナの後遺症が続いており、メンタルも弱った状態で混乱してたのかもしれません」
人は感情を大きく揺さぶられると、その対象にどうしても執着しやすくなると聞きます。コロナで心身が弱っていた早苗さんにも、その現象が起きてしまったのかもしれません。
「もちろん、冷静になれば離婚した方が良いというのはわかっていました。でもせめて円満に離婚したく、まずはずっと気がかりだった彼に貸した100万円を返して欲しいと頼んだんです」
ところが、案の定……という流れで、彼は平然と『俺に返す義理はない』と言い放ったそう。何度頼んでも、返済に応じる気配はありませんでした。
「話が進まないので、結局もう諦めて、離婚調停に持ち込むことにしました。すると通達が届いて焦ったのか、ようやく彼から『きちんと会って話したい』と返事が。
この時彼に会ったのは2ヵ月ぶりで、少し距離を置いたせいか、昔に戻ったような雰囲気でした。『お金もまずは50万円返すし、早苗との関係はできれば修復したい』『離婚するとしても、早苗は俺にとってずっと大事な人だから、お互い納得できる形で円満にしよう』『今まで本当にごめん』などと言ってくれて。
しばらく不安定だった反動もあり、何だか良い雰囲気になり、実はこの日に数ヵ月ぶりに身体の関係も持ってしまいました。どちらにしろ円満にしたいから調停は取り下げて欲しいと頼まれ、私もホッとしつつ、そうしようと思ったのですが……」
なんとこの数日後、彼が他の女性と旅行していることが発覚するのです。
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