2022年10月よりTVアニメがスタートした『ブルーロック』。本作は、高校生サッカー選手の潔世一(いさぎ よいち)が“世界一のストライカー”を目指すという物語。ですが、本作は夢に向かって煌めくタイプのフレッシュで快活なサッカーマンガではありません!

まず、世一の訓練場所は別名・青い監獄と呼ばれる一風変わった施設で、共に訓練する仲間はみんな自分と同じストライカー。さらに、世界一のストライカーに必要なのは「One for all All for one」の精神でも努力でもなく“世界一のエゴイスト”であること……など、従来のサッカーマンガとは一味違う過激さが『ブルーロック』の特徴です。けれど、その過激さのなかに、私たち読者の野心を目覚めさせるような不思議な魅力が潜んでいるのです。

『ブルーロック』 (1) (講談社コミックス) 


もしもあの瞬間パスではなくシュートを撃っていたら


全国大会まであと一歩の大事な大会。その最終局面で世一は迷っていました。目の前にいるキーパーとの1対1に挑んでゴールを奪うのか、それとも仲間にパスをして確実に1点を決めるのか……。

 

彼が出した答えは後者の仲間にパスをするというもの。これで確実に点を取ったかと思いきや、なんとチームメイトがシュートを外し、全国大会まであと一歩のところで世一たちは負けてしまいます。

もしもあの時パスではなく、自分がシュートを撃っていたら……。そんな押し寄せてくる後悔に苦しむ世一でしたが、ある日彼のもとに日本フットボール連合から強化指定選手に選ばれたという知らせが届きます。

 


最強のストライカーを作り出す!超型破りな選手育成プロジェクト


誰かが自分のプレイを見ていてくれたのだと、嬉しさと期待を胸に強化指定選手の集合場所に向かう世一。ですが、そこで彼を待ち受けていたのは、自分と同じストライカーの高校生選手300人と、超過酷な「青い監獄<ブルーロック>」での合宿生活でした。

 

実はこのブルーロックとは、悲願のW杯優勝のために日本フットボール連合が企画した超型破りな選手育成プロジェクト。

日本サッカーの課題は絶対的な“エースストライカー”の不在だと考えたコーチ・絵心甚八 (えご じんぱち)は、エースストライカーに欠かせないどこまでもゴールと勝利に飢えた“エゴイズムあふれる最強の1人”を作り出そうと、このプロジェクトを企てたのです。

 

最強のストライカーとして生き残るのはたった一人。一方で残りの299人のサッカー人生は滅茶苦茶になる……。そんな絵心からの忠告に戸惑いを隠せない世一たちでしたが、結局は会場に集まった300名全員が最強のストライカーを目指して互いを蹴落とし合う、過酷な合宿に挑むのです。

ブルーロックの日々があなたの野心を目覚めさせる


12人の選手の中からオニを一人決めて、残る11人にボールをぶつけあう。そして、タイムアップの瞬間にオニだった者はその場で脱落する入寮試験「オニごっこ」。

さらに、総勢25チームが5チームずつに分かれて総当たり戦を行い、下位3チームは強制退場させられる1次選考「総当たりグループリーグマッチ」など。まるでデスゲームの如く、選手たちが次々と消えていくブルーロックの日々は、従来のサッカー漫画で描かれてきたアツい青春、煌めくような友情や努力とは無縁です。

ですが、この過酷な日々は世一たちはもちろん、私たち読者の中に眠る野心を目覚めさせるのです。

 

ブルーロックの合宿で一貫しているのは、勝利という“成し遂げたいゴール”に対してどこまで貪欲になれるのかという問い。それもただ無闇に貪欲になるのではなく、どうしたらそのゴールに辿り着けるのか? なぜあの時は勝利できたのか? と、論理的思考を求めるのです。

その姿勢は、

「“再現性”のある成功の先にしか進化はないと思い知れ」第24話より
「“運”は降ってきてから考えたってもう遅いんだ」 第87話より

など、この先登場する絵心の厳しくも胸を打つセリフからも感じ取ることができます。そして、そんな絵心のセリフと共にブルーロックの日々を見ているうちに、自分の野心が刺激されるのです。

例えば、「会社のビッグプロジェクトに参画して成功させたい」「独立したい」など、誰かに無理と言われたり、あるいはそう思い込んで封印していた自分の野心。それらを目覚めさせて、叶えようとする一歩を後押ししてくれる……。言うなればギラついた炎を私たちの心に焚きつけてくれる『ブルーロック』。

今年もあと残り2ヶ月、後悔や鬱屈とした気持ちを抱えるあなたにぜひ読んでほしい作品です。

 

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<作品紹介>
『ブルーロック』
金城宗幸(原作)/ ノ村優介(著)

2018年、W杯。日本代表は無残に散った。今大会もベスト16止まり…。アジアでは強豪? 組織力は世界レベル? そんなことは、もう聞き飽きた! 課題は、絶対的な「エースストライカー」の不在。悲願“W杯優勝”のために、ゴールに飢え、勝利に渇き、試合を一変させる革新的な“1人”を作るべく、日本フットボール連合は300人のユース年代の選手達を招集する。まだ無名の高校2年生・潔世一は、己のエゴを以って299人を蹴落とし、最強のエースストライカーの道を駆け上れるか!? 登場人物、全員“俺様”! 史上最もイカれたエゴイストFWサッカー漫画、ここに開幕!!


<作者プロフィール>
金城宗幸

漫画原作者。2011年に『神さまの言うとおり』(著・藤村緋二)で漫画原作者デビュー。代表作に『ビリオンドッグズ』『僕たちがやりました』『ジャガーン』など
。現在は「週刊少年マガジン」にて『ブルーロック』、「ビッグコミックスペリオール」で『スーパーボールガールズ』を連載中。


ノ村優介
漫画家。2013年に「週刊少年マガジン」に掲載された読み切り『砂人の皇』でデビュー。2014年〜2017年にかけて「マンガボックス」にて『ドリィ♡キルキル』(原作・蔵人幸明)を連載。2018年からは「週刊少年マガジン」より『ブルーロック』の連載を開始。本作は、第45回講談社漫画賞少年部門を受賞し2022年10月にはテレビアニメ化された。
https://twitter.com/nomnii