夢を叶えるために必要なものはなんだと思いますか? 才能、努力、運、経済力……もちろんあるに越したことはないですが、実はもっと大事なものがあるのです。

2022年8月に単行本1巻が発売されるやいなや、あちこちで売り切れが続出するほど注目を集めた『ブレス』。本作では、夢を叶えるために必要なものを若き夢追い人たちの葛藤と共に鮮烈に描きます。

『ブレス』(1) (マガジンエッジKC)


元モデルの高校生が諦めてしまった夢


主人公は、元モデルの宇田川アイア(うたがわ あいあ)。彼は、メイクアップアーティストになる夢を持っているものの、周りから否定されることを恐れて諦めていました。

 

そんなある日、顔のそばかすを隠すように背中を丸めている同級生・炭崎純(すみさきじゅん)と学園祭のコンテストに出場することに。

学園コンテストとは、衣装・ヘアメイクを担当するスタイリスト役とモデル役の2人1組でランウェイを歩くというもの。クラスメイトたちからは、モデル経験のあるアイアがモデル役に、そして仕事を押し付けても反論しなさそうな炭崎がスタイリスト役として期待されていましたが……。

 

なんと、炭崎の提案でモデル役とスタイリスト役を交換することに。

 

2人の夢追い人が共鳴する瞬間


最初は炭崎の提案に戸惑うアイアでしたが、実は彼女がモデルを目指しており、そのために人知れず努力をしていること。でも、自分と同じように他人の期待を気にして夢を諦めていたことを知ります。

 

さらに、炭崎とやり取りを重ねていくなかで、彼女のそばかすからメイクのインスピレーションを得たアイア。

 

こうして、アイアはメイクで炭崎の魅力を引き出し、「変身」がテーマの学園コンテストに2人で挑むのです。

 

圧巻の筆致で描かれる、アイアと炭崎が生み出すランウェイ。まるで2人の夢が共鳴するかのような鮮烈なパフォーマンスはオーディエンスを魅了します。
 

 

自分の夢に“本気”になること


アイアはメイクアップアーティスト、炭崎はモデル。それぞれ学園コンテストでの成功体験をきっかけに、再び自分の夢に向かって歩み始めますが、本作がマンガとはいえ、マンガのようにうまくいきません。

 

モデルやメイクアップアーティストという狭き門の過酷さ、そして自分が夢を諦めていた間に力を付けていたライバルたちの存在。そんな、夢を追うことの綺麗事だけではない一面を描きながらも、本作では夢を叶えるために一番大切なものを教えてくれるのです。

 

それは、例え才能がないと言われても、周りよりスタートが遅くても、恵まれた環境にいなくても……夢に対してどこまでも“本気”になれる人。そんな人物が夢を叶えるのではないでしょうか。

 

とはいえ、本気の度合いや、実際にどんな行動を起こすのかは人によってさまざまです。ですが、アイアや炭崎はもちろん、『ブレス』に登場する夢追い人たちが見せる“本気”の姿は、まるでバトルマンガさながらの闘志で溢れています。

夢追い人たちの本気、そしてそれぞれの夢の行方をぜひ見届けてください。

 

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『ブレス』
園山ゆきの(著)

元モデルの宇田川アイアは、メイクアップアーティストになる夢を持っていたが、周りから否定されることを恐れて夢を諦めていた。ある日アイアは、顔のそばかすを隠すように背中を丸めている大人しい女の子・炭崎純と学園祭のコンテストに出場することになった。衣装・ヘアメイクを担当するスタイリスト役とモデル役の2人1組でランウェイを歩くコンテストで、アイアは炭崎にメイクをすることに。炭崎とのやり取りの中で教室では見せない魅力を炭崎に感じたアイアは、メイクで炭崎の魅力を引き出し学園祭に挑む。


<作者プロフィール>
園山ゆきの

講談社「週刊少年マガジンエッジ」にて『ブレス』を連載中。
Twitter:@ko_jo_shin