『東京卍リベンジャーズ』のヒットによって、いま再び注目されつつあるヤンキー漫画。ですが「喧嘩するだけでしょ?」「意味もなく続く暴力シーンがいや」など、そもそもジャンル自体に苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。

そんなイメージを覆すヤンキー漫画が、今回ご紹介する『WIND BREAKER』です。通称・ウィンブレと呼ばれる本作もページをめくればヤンキー漫画らしく常に喧嘩をしていますが、彼らが拳をふるう理由にぜひ注目してほしいのです。

『WIND BREAKER』(1) (講談社コミックス)


強さこそが自分の価値、最強を求める少年

 

主人公は、超ヤンキー校として名高い風鈴高校のトップを目指してまこち町にやってきた桜遥(さくら はるか)。

生まれつきのオッドアイ、個性的な髪色……。そんなマイノリティな外見を理由に、常に周囲から否定され続けてきた彼は“強さ”こそが自分に価値を与えてくれるものだと信じ、より最強の強さを求めて風鈴高校に挑みます。

 

強さが全てだと信じて疑わない遙ですが、彼は誰かれ構わず喧嘩をするわけではありません。例えば、女性やお年寄りなど弱い立場に人に群がるヤンキーたち。そんな卑怯な人間に対して容赦無く拳を振るうのです。

 
 

超不良校! 風鈴高校の本当の姿とは


そんな遙ですが、高校入学前日につい先日成敗したばかりのヤンキーたちに囲まれ、絶体絶命のピンチに立たされてしまいます。ですが、窮地に陥った彼を救ったのは、なんと同じ風鈴高校に通う先輩たち、通称・防風鈴(ボウフウリン)だったのです。

 

超不良校なら、きっと最強の強さを求めて日々熾烈な抗争が繰り広げられているはず……という予想が外れ、ボウフウリンに助けられた事実に驚きを隠せない遙でしたが、この出来事をきっかけに“風鈴高校の本当の姿”を知るのです。

 

元々、ヤンキーやギャングなどの抗争によって治安が最悪だったまこち町。そんな街の状況を変えたのが風鈴高校の生徒たちでした。

――これより先、人を傷つける者 物を壊す者 悪意を持ち込む者 何人も例外なくボウフウリンが粛正する

この掟のもとに、街の盾<WIND BREAKER>として拳を振るうボウフウリンは、誰かを傷つけるのではなく守るために喧嘩をするのです。
 

 

力を“正しく”使うということ

 

疎まれるどころか街中から愛されている風鈴高校のヤンキーたち。その姿はもはや英雄に近く、果たしてこれはヤンキー漫画なのだろうか……と少々疑問が浮かびます。ですが、校則を無視した派手な装いや、授業がまともに成り立っていない高校生活を見ると、ヤンキーそのもの。ただ、彼らは自身の力や権力を“正しく”使っているだけなのです。

喧嘩の強さ、そして超ヤンキー校という権力。それらを不正や悪しき方に使うのではなく、街の治安、そしてみんなの尊厳を守るために使う。そんな彼らの姿勢に令和の新たな、いや本来あるべきヤンキー像を感じます。

 

こうして遙は、ボウフウリンの一員として、街を守るために戦いに身を投じていきますが、今後さらに登場する個性豊かなボウフウリンのメンバー、そして全ての喧嘩の背景にある感動的なエピソードの数々にぜひ注目してみてください。
 

 

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『WIND BREAKER』
にいさとる(著)

その拳で、街を守れ! 不良高校生・桜の喧嘩英雄伝説! 偏差値は最底辺、喧嘩は最強。超不良校として名高き高校・風鈴高校。この春、そんな風鈴のトップを目指して街にやってきた風鈴高校1年生・桜遥は、風鈴高校が“防風鈴”(ボウフウリン)と名付けられた街を守る集団となっていたことを知る。そして桜は、風鈴の一員として街を守るため戦い始めることに―――!


<作者プロフィール>
にいさとる

漫画家。『男子バド部に女子が紛れてる シークレットバドミントンクラブ』を経て、2021年に講談社の漫画アプリ「マガジンポケット」にて青春不良漫画『WIND BREAKER』を連載開始。