「送り出し」に力強さと紳士的な面があって魅力を感じました
土俵入りの時、力士が並ぶ図も壮観でした。神様に奉納する儀式だそうで、表情も真顔でキリッとしています。化粧回しには企業名が書かれていたり、富士山や狼など、験かつぎになりそうな図が刺繍されていたりと、バラエティーに富んでいました。取組の時は化粧回しを取って、褌姿になります。それもまた日本男児という感じですが、数時間いただけで、数年分の裸体を見たような気がしました。女性ホルモンが促されそうです。
素人なので決まり手は判別できないですが、「上手投げ」「叩き込み」「突き落とし」「押し倒し」などは激しくて荒々しさがあり、「寄り切り」「押し出し」などは持久力が勝負という印象。個人的に「送り出し」は、力強さと紳士的な面があって魅力を感じました。
その「送り出し」で勝った照強は大量の塩をつかんでまくパフォーマンスが話題のようで、客席からも歓声が上がっていました。塩まきプレイで対戦相手を威嚇し精神的に優位に立てそうです。塩まき以外にも、それぞれ試合前のルーティンがあるのか、塩を膝に刷り込む力士もいました。ももをペチペチ叩いたり、お腹をポンポン叩く力士も多かったです。良い音を出すことで、自分の体に自信が持てます。向かい合ってお互い自分の体を叩くパターンもあり、力士同士の非言語コミュニケーションのようでした。
イケメンと評判の遠藤が土俵入りすると会場にざわめきが。前の席のファンと思われる女性もプロ仕様のカメラで撮影しています。しかし「寄り切り」で負けてしまい残念でした。
周りのお客さんが「いい試合だ」と賞賛していたのは、若隆景と御嶽海の取組。土俵際まで追い詰められても持ちこたえ、お互い動かず探り合う姿に緊迫感が。最終的に、体重が40キロ近く軽い若隆景が寄り切りで逆転していました。一瞬でスピーディに決まる試合もあり、長さはバラバラですが、不思議と時間内におさまっているのに国技としての見えない力を感じます。
最後は、横綱、照ノ富士と前頭四枚目の錦木の取組。照ノ富士は膝にサポーターを巻きまくっていましたが、上手投げで勝って、横綱のパワーを見せつけました。
最後は「弓取式」と呼ばれる儀式で、勝者の代わりに作法を心得た力士が勝者の舞を披露します。土俵入りから塩まきから取組、弓取式まで、全て神に捧げられているのが大相撲の尊さだと体感しました。それこそが、古事記に書かれている頃から歴史が途絶えなかった秘けつでしょう。もしかしたら、神に捧げる思いで仕事をしたらうまくいくかもしれない、と大相撲にヒントをもらいました。
(次回、フェムテックの最新動向を探ります!)
構成/露木桃子
前回記事「大相撲9月場所で「推し活ビジネス」の最終進化を目の当たりにする【観戦レポ前編】」>>
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