しかしそう言われると、ではこれからは、女性は皆強くならなければいけないということなのか? もはや女性が男性を守る時代に切り替わったのか? そう窮屈に感じてしまう人も多くいることと思います。でも私は、決してそういうことではないと思っています。

たしかに守られる女性というのは、現時点においてはやや時代に合っていない印象はあります。でも、時代がどうあろうと、いつだって守られたい女性もいれば、守りたい女性もいるはず。さらには、誰にも守ってもらう必要性なんて感じていなくて一人で全部やります、という女性だっていることでしょう。大事なのは、その選択肢があるということだと思うのです。

目黒蓮『silent』、吉沢亮『PICU』...秋ドラマに“泣くイケメン”が多いワケ_img0
写真:Shutterstock

そのためには、一回全てのパターンの女性を机上に並べる必要があります。マイノリティが不利益を被らないよう優遇する「積極的是正」ではありませんが、全ての女性像を平等なスタートラインに立たせるためには、今まであまり描かれてこなかった女性像も積極的に描くことが必要だと思うのです。そしてそのために欠かせないのが、よく泣くイケメン、ということだったのではないでしょうか。

 

まさに今は、そんな女性のイメージの是正期間なのではないかと思います。弱く守られる女性はもう散々描かれました。その後、「恋愛よりも仕事!」というお仕事ものブームが到来し、一人で楽しく働く女性もかなり定着した印象があります。だから今度は男性を守るぐらい強い女性が描かれる番がきた、そういうことではないかと感じているのです。

それゆえ“弱い男性&強い女性”ブームというのは、まだしばらく続くことでしょう。いや、続く必要がある。そうして全てを洗い出したその先にこそ、私たちが自由にありたい自分を選択できる、そんな時代がくると思うからです。



取材・文/山本奈緒子
構成/坂口彩
 

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