インフルエンザ、コロナとの同時流行の懸念はなぜ高まっている?【医師の解説】


山田:いくつか理由がある思います。一つはマスク装着をほとんどしなくなった、という点です。ニューヨークでは、医療機関はもちろん、公共交通機関ではマスクをしている方が多いですが、飲食店などでマスクをしている人は、ほぼ見かけなくなりました。

これまでの3年間は、世界中でマスク装着が広がったこともあり、ここアメリカでもインフルエンザの感染流行がほぼみられなかった、といえるのではないでしょうか。

ただ、感染流行が起こらなかったことで、インフルエンザの存在を低く見積もるようになり、ワクチンも打たず、感染もしない、という状況が2〜3年続くと、人々の中のインフルエンザに対する獲得免疫がほとんどなくなってしまうのです。

 

編集:たしかに、インフルエンザを予防しよう、という意識は薄れていました。

山田:そうですよね。獲得免疫もない、さらにマスクのブロックもない……という状況では、インフルエンザに対する防御力はほぼありません。たとえるならば、ドアを大きく開けて「インフルエンザさん、ぜひきてください!」という状態で冬を迎えることになりかねない。これが、今年の冬の状況なのではないでしょうか。

編集:ワクチン接種をしたり、適切にマスクをしていれば、予防はできますよね。

山田:そうですね。ワクチンによって、大きく開いたドアが半分くらい閉まり、マスク装着によりさらに閉じることで、ウイルスが入りづらい部屋になる、と考えていただくと、イメージしやすいかもしれません。もちろん、残念ながら、完全にドアを閉じる、ということはできません。けれど、閉じた状態に近づけることはできますよね。

編集:とてもわかりやすいたとえで、感染予防への理解が深まりました!また、もう一つ心配なことがあります。鳥インフルエンザの報道が気になっているのですが、そもそも鳥インフルエンザとは、どんな病気なのでしょうか?私たちも、感染するのですか?