「じゃあ、なんでベッド買ったの?」
斎藤(鈴木亮平)の言葉に、一気に心を持っていかれた『エルピス-希望、あるいは災い-』(カンテレ・フジテレビ系/以下『エルピス』)第4話。筆者はこれまで、できるだけ“悪い男”には引っ掛かりたくない! と思って生きてきました。でも、斎藤を見ていると、抗えない恋ってあるんだなぁって。危険だからこそ、触れてみたくなる人っているんだなぁと思うんです。
恵那(長澤まさみ)にとって、斎藤の存在は希望なのか。あるいは、災いなのか。
斎藤って、具合が悪い元恋人の目の前で、喫煙をするような最低男ですよ。それなのに、どうして“クズ”だと認められないのだろう。なんで、彼にも彼なりの正義があって、抱えているものがあるから……とか思っちゃうんだろう。本稿では、そんな斎藤が第4話で起こしたズルすぎる行動たちを振り返っていきます。
元恋人の家に、“置きビール”をする斎藤がズルい
連続殺人の冤罪疑惑を追っている恵那は、精神的にも肉体的にもかなり追い詰められています。そんな時、頼りになる元恋人が目の前に現れたら。そして、その彼が自分よりももっと大きなものを抱えていることを悟ってしまったら……。さすがに、全面降伏せざるを得ない。
斎藤は、そのことを重々分かっているのです。だから、深夜にアポもなしで恵那の家にやってくる。「(八頭尾山事件の)特集の放送を取りやめた方がいい」と言っているのに、その理由を教えないのもズルすぎません? 「知らない方がいいよ。君、傷つくよ」って言うならさ、なんで家に来たの!
さらに、缶ビールを大量に買ってくるのもズルい。だって、恵那はビールを飲まないんですよ。それなのに、“置きビール”しようとしてるって何なんですか! 私が恵那だったらね、もう「飲まねーから持って帰れ!」と突き返したいくらいですけどね、目の前にあの鈴木亮平がいたらね、おとなしく冷蔵庫に入れるしかないんですよ。ズルい。ズルすぎる。
そして、極めつけは、冒頭の台詞「じゃあ、なんでベッド買ったの?」。断捨離したはずなのに、斎藤に抱かれてからベッドを買い直してしまった恵那も、苦しい。部屋に入った瞬間、新しいベッドがあるのに気付く斎藤は、ズルい。そして、すぐに「ベッド買ったんだ」と言わず、面倒なことを聞かれた時の切り札にしてるのも、ズルい。
恵那、お願いだから斎藤の弱みを握っちゃってくれ……!
恵那のように、社会の前線で戦っている女性が、斎藤のようなできる男に沼っていくのも、リアルなんですよね。できる男っていうのは、大抵が世渡りがうまいわけで。なんか、すごいものを抱えているようにも見えちゃうわけで。斎藤もね、本当にうまーく生きていますよ。なんだか、ここまでスマートだと、彼の取り乱した姿が見たくなってくるな。恵那、斎藤に翻弄されていないで、やり返してくれよ! あいつの弱みを、握ってやってくれよ! 恵那を、働く女性たちのヒーローだと思ってしまっている筆者は、そんなことを願ってしまいますが……。一体、どうなっていくのでしょうか。
斎藤のズルい男っぷりはもちろんのこと、物語も最高に面白い『エルピス』。ようやく、本当の意味で自分と向き合い始めた拓朗(眞栄田郷敦)。最後のあの“目”を見て、眞栄田郷敦の演技力、恐るべし……と思った人も多いのでは? 災いをもたらすだけの男だと思っていたプロデューサーの村井(岡部たかし)に、彼なりの正義があったことにも、驚かされました。そして、チェリー(三浦透子)はなんのために自殺を図ったのか。それぞれの過去と、思惑が明らかになっていく第5話からも、目が離せません! 斎藤、もう出てこないでくれ(と言いながら、彼の登場を待っている自分がいます……涙)。
前回記事「『silent』の想と湊斗「どちらといた方が紬は幸せなのか」問題を考えてみた」はこちら>>
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