みなさん、“モテるヒロイン”と言えば? と聞かれて、思いつくキャラってありますか? 筆者は、『失恋ショコラティエ』(フジテレビ系/2014年)のサエコさん(石原さとみ)が、真っ先に思い浮かびます。“あざとい”ブームの火付け役ともなったサエコさん。まさに、平成後期のモテ女を象徴したようなキャラクターでしたよね。

そんなサエコさんに翻弄されていた主人公の爽太(松本潤)も、「(可愛さが)見えなかったら、可愛いって思えないよ。男ってにぶいからさ、見え見えくらいがちょうどいいんだって」と言っていたように、一つひとつの行動が、本当に分かりやすかった! 

“絶対領域”を死守したミニスカートを穿いて、上目遣いで落としたい相手を見上げる。そして、キャピキャピした声で全力ぶりっ子。同性から見ると、ちょっと煙たい存在。だけど、モテるだろうな……と認めざるを得ないような。

ただ、現在放送中のドラマ『silent』(フジテレビ系)を観ていて思ったんです。「あれ、モテ女のトレンド、変わってきてない?」って。

『silent』ヒロイン・紬の「無意識なあざとさ」は、令和のモテ女子の王道かもしれない_img0
『silent』(フジテレビ系)公式HPより。

というのも、本作でモテ街道を突き進んでいる紬(川口春奈)は、『失恋ショコラティエ』のサエコさんとは対極に位置する女の子なんです。私服ひとつとっても、まったくちがう。紬はパンツルックがメインだし、想(目黒蓮)に会うために準備したスカートも、長い丈のもの。「女らしさをアピールして、ドキッとさせたろー!」って気持ちは、なさそうです。

 

でも、紬ってよくよく考えると結構あざといんですよね。ずっと、マドンナ的存在として君臨し続けてきたからか、振る舞いに自信がある。だって、彼氏の湊斗に「別れよう」と言われた時、泣きながら首を振って、甘えたようにペシペシ叩くなんて、普通じゃできないですよ。振られてんのに! ペシペシなんて!

また、想に「最近覚えた手話、教えて」と言われて、「片想い」と返したのも、すげぇええ……となりました(それに、「覚えなくていいよ」と返した想もすげぇ)。だって、絶対“片想い”じゃないんだもん。そのあと、手話教室の春尾先生(風間俊介)に、教えてもらってんだもん!