それでも、「あざといな、こいつ!」とならないのが、すごい。サエコさんがこんなこと言ったら、即あざとい認定されるのに、紬はオーガニック女子の仮面をかぶっている(というか、性格がまっすぐなだけ?)から、計算で言っているわけないと思わせちゃうんですよ。視聴者もそう錯覚してしまうのだから、想は気づきもしないはずです。紬の魔性さに。

女っぽさを封印して、カジュアルにモテる。紬のようなスタイルが、令和のモテ女子のトレンドになっていくのかもしれません。確かに、サエコさんのようなキャラだと、男性も“騙されにいく”スタンスになりそう。対して、紬はまっすぐに生きているだけだから、男性側も翻弄されている感覚がないんでしょうね。だからこそ、あざとい行動をしても、ガードを張られる心配がない。「無意識なのかな?」と錯覚させることができる。令和のモテ女は、強いぞ……!

そして、“男に尽くすのがいい女”というスタンスも、少しずつ変わってきている気がします。顕著に現れていたのが、第7話。紬と想が、ファミレスで待ち合わせをするシーンです。座席は、片方がソファーで、もう片方が椅子。にも関わらず、先に到着していた紬が、ソファー側に座っていたんですよね。制作陣も、「そこまで気にしてないわい!」という感じなのかもしれないけど、筆者はここに紬のマドンナムーブを色濃く感じました。

 

一方で、想もかなりのモテ男なんですよね。奈々(夏帆)と揉めてしまい、「(奈々が)泣いてて……。私のせいかもしれなくて」と戸惑う紬に、「青羽(紬)は大丈夫?」って聞くあたり、最強です。まず、目の前にいる相手を思いやる姿勢。そして、想も計算ではなく“優しさ”がゆえの行動だから、ずるい。ナチュラルボーンなモテ行動なのです。

 

紬×想の美しすぎる恋愛だけでもいいのに、『silent』は2人に恋をしてしまった者たちが散る様子を丁寧に描いてくれるから、なんだかもう胸が苦しい。紬のもとに駆け出す想の背中を見つめる奈々とか、紬と想が楽しそうに手話をしているところを見つめる湊斗とか。毎週、勝手に失恋したような気分になって、涙が止まらない……。永遠に続いてほしいところではありますが、次はもう8話。終わりが見えてきてしまいました。今から、ロスになりそうで怖いです(号泣)。
 

 

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