戦争の悲惨さを伝える名著は、コミック版を
『戦争は女の顔をしていない1〜3』

戦争は女の顔をしていない1〜3』小梅けいと・漫画 KADOKAWA

S・アレクシェーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』のコミック版です。第二次世界大戦のときのソ連の従軍女性の証言は、その戦争の是非や敵か味方かも関係なく、戦争の本当の悲惨さを教えてくれます。ウクライナ戦争についての報道を見るときにも、兵士一人一人に生活や夢や家族があることを知っていてほしいし、子どもたちにはそれが奪われる残酷さを想像できる人であってほしいと思います。 

 

生者と死者の出会いが伝える、明日への希望
『ツナグ』

『ツナグ』辻村深月・著 新潮文庫

10代の頃、身近な同世代を亡くしたことがありました。人の死に直面したのが初めてで、到底受け止められないのに、日常は残酷なくらい変わらずに進んでいくことに、大きく傷ついたのを今でも覚えています。

この小説は「使者(ツナグ)」を通じて、生者と死者が出会う物語。そこはキレイごとだけではないやり取りが含まれているけれど、明日へ進める希望も描かれているのが良いなと思った記憶があります。
 

記者歴20年の著者による、やさしく学ぶ地政学
『13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海』

ウクライナ戦争を機にさらに注目を浴びるようになった地政学を、小学校高学年〜中学生にも分かる平易な言葉で学べる本です。古い地球儀を挟んだ、謎の「カイゾク」と高校生の兄、中学生の妹との対話を通じて、知っておきたい国際情勢の真実に無理なく触れることができます。

新聞記者として世界40カ国以上で20年間にわたって取材した経験を持つ著者が綴る物語は、大人が読んでも読み応えあり。「経済成長って何?」「なんで戦争は起きるの」借りてきた言葉や表面的な議論でなく、親子ともに自身の言葉で語り合えるきっかけになるかも? そう期待したくなる一冊です。
 


構成/山崎 恵
 

 
 
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