好きな物事やライフスタイルがブレない一方で、新しい流行や情報も積極的に追いかけ必要に応じて取り入れる柔軟さも持ち合わせている、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さん。長年、第一線で活躍されていますが、昔からちっとも変わらない、肩の力の抜けた自然な若々しさに、お会いする度に密かに驚愕させられます。多くのアラフィフ女性がぶち当たるであろう「そんなつもりなくても迫力出てしまう問題」とも無縁そうです。
本連載ではなめ子さんが自らのアンテナに引っかかった事象を紐解く過程をコラム+漫画の形でお届けすると同時に、「アラフィフの壁」を無理なく、軽やかに越えるヒントを読者の皆様に与えられれば幸いです。今回は「文具女子博2022」に潜入。なめ子さんも担当編集も仕事を忘れ文房具を爆買い。それにしても女性はなぜ、幾つになっても文房具の沼にハマるのでしょうか? その理由を紐解きます。
昭和ファンシーの復刻アイテムを見て、一気に少女時代に年齢退行
最近「年賀状じまい」なんていう単語が話題になっていますが、世の中が手紙や手書きから離れていっても、文具好きの心は不動です。毎年のように行っている「文具女子博」に今年も参戦いたしました。
会場は東京流通センター第一展示場。限定品をいちはやく買える初日のプレミアムタイムのチケットは既に完売していたので、平日の午後の時間を予約して入場。会場に入ると「シモジマ」のブースに昔なつかしいファンシーな包装紙の復刻アイテムが展示されているのが目に入り、一気に少女時代に年齢退行。文具好きの女性の原点は、やはり幼少期に友だちと折り紙やシールを交換したり、かわいいペンを見せ合ったりした経験なのではないでしょうか。
同行した、20年来の仲の女性編集者Tさんも文具好きのようで、テンション上がりまくり。自然とワントーン高くなって「かわいい〜」「これ刺さりました〜」といった歓声が。その声につられて、私も次々買い物袋に入れていきます。
おこづかいも少なかった埼玉の少女時代と違って、大人として経済力がついたので、いったん自制心が緩むとどんどん買ってしまいます。入り口近くに昭和ファンシー文具を置いたのは、40代の女性の購買欲を刺激する仕掛けだったのでしょうか……。
会場を回ってみて、やはり人気だったのはマステコーナー。マステといえば「mt」ですが、なぜか今回出店しておらず……。でも新興マステブランドがそれぞれ凝った商品をだしていました。おとぎ話をテーマにしたマステなども童心を呼びさまします。
フエキのりのキャラ、フエキくんを使った文具やコスメ、サクラクレパスの時計など、誰もが子ども時代に使ったことがあるデザインを使い、新たに商品展開しているメーカーもありました。これも童心モードで訴求力が喚起。
現代の文具作家の方々も進出しています。「文具女子博2022 パーフェクトガイド」に掲載されている人気クリエイターの方々のブースは、コミケの「壁サークル」のように端に配置されていてにぎわっていました。
KOKUYO、クオバディス、セーラー万年筆、COPICといったメジャーなメーカーの新商品をチェックするのも楽しいです。美大の教室に置き忘れたCOPIC、一瞬で盗まれたっけ……と文具の思い出がよぎりました。懐かしさと物欲が高まるイベントです。
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