妻を絶望させた、夫の秘密


事実婚とは、実質的に夫婦関係にある男女が婚姻届を出さずに共同生活を送ること。入籍はしていない状態ですが、住民票に「妻(未届)」と記載したり、公的手続きで婚姻意思を表明することができます。

また個人間の契約で、法律婚と同等の取り決めを交わすことも可能だそうで、美月さんとご主人は弁護士を交えて少しずつ手続きを進めました。

「離婚のときに知恵だけはたっぷりつけたので……結婚のメリットとデメリットを考え、息子と会社を守ること、そして私たちなりの幸せの形を考えた結果、この選択になりました。すべて受け入れてくれた夫には感謝しています。ちなみに離婚も再婚も親しい人にしか報告していないので、元夫はいまだに私を独身だと思っています……」

あまりに冷静、そして令和らしい合理的な結婚の形に驚きますが、男女の盛り上がりに流されすぎず、しっかりと現実的に結婚を捉えた方が、実はお互いのためになるのかもしれません。

とはいえ別居婚にしても事実婚にしても、女性が自らこの選択をするには、精神的・経済的自立が不可欠でしょう。苦い経験を学びに変える美月さんの選択には唸らされます。

しかしながら、美月さんは再び新しい問題に直面してしまうのです。 

 

「再婚当初は、この状態にとても満足していました。私の場合は子連れ再婚なので、新婚早々に所帯染みてしまうことも避けられました。この人は私の夫なんだ、という安心感もある一方、会うのは基本週末で、恋人らしい新鮮さも保つことができます。恋人と結婚の“おいしいとこどり”をできたと思っていました。

 

でも……このあと、また最悪なことが起きたんです。結婚を公にせず、別居婚であるのをいいことに、夫が浮気を繰り返していることが判明しました」

息子さんも含めて家族になりたいとプロポーズをしてくれたご主人。その包容力の深さに感謝し、すっかり信頼仕切っていましたが、事の発端は、美月さんのカフェに突然知らない女性が乗り込んできたことでした。

「ものすごい形相の若い女の子に、『私、●●の彼女です。もう彼と会うのをやめてもらえますか?』と詰め寄られたんです。とりあえず話を聞くと、彼女は最近夫と付き合い始めたと……。彼の部屋で私の痕跡を見つけて喧嘩になったらしいのですが、彼はなんと私を『元カノ』と言ったそうで……」

美月さんはあまりのショックに現実を受け入れるのにも時間がかかり、すぐにご主人に話を切り出すこともできなかったそうです。

しかしもちろん、放置することもできません。悩んだ末、美月さんは二度目の離婚を覚悟でご主人を問い詰めることにしました。