満島ひかりの演技に覚悟のある“生き様”が見える
『First Love 初恋』
全9話の連続ドラマ『First Love 初恋』はNetflixが宇多田ヒカルの楽曲から着想を得て、原案から手掛けた日本オリジナル渾身の一作です。1982年に北海道で生まれた同級生という設定で満島ひかりと佐藤健が主役を演じ、90年代後半とゼロ年代、現在の３つの時間軸が交錯しながら20年余りにわたって忘れられない“初恋”の記憶を辿る物語が展開されます。
満島が演じる也英（やえ）が事故に合うことで、思い合う2人がすれ違っていく展開は見慣れた韓国ドラマのようでもありますが、フライトアテンダントを目指すも夢破れてタクシードライバーとして生きる也英の生き様には覚悟を感じます。満島の演技によって説得力も増しています。冒頭に「人生はまるでジグソーパズルだ」と語る台詞が最終話でより実感できるのも、不甲斐なさをひっくるめて全ての出来事に意味があることを受け入れてきたからだと思わせます。
Netflixシリーズ『First Love 初恋』 配信中 ©︎Netflix
アカデミー賞女優のユン・ヨジョンが在日コリアンの“心”を叫ぶ
『Pachinko パチンコ』
秀作揃いのApple TV＋のオリジナルドラマからまたひとつ強烈な印象を与える作品が加わりました。それが全８話の韓国ドラマ『Pachinko パチンコ』です。原作は韓国系アメリカ人、ミン・ジン・リーによる世界的ベストセラー小説。祖国を離れて日本に移り住んだ韓国人一家を四世代にわたって描き、劇中では韓国語、日本語、英語の3か国語が飛び交い、1910年代の釜山、1930年代の大阪、1989年の東京／横浜という３つの空間が常に行き来する構成のスケールの大きさがまず目立ちますが、最も丁寧に伝えているのが家族の歴史の心の奥底に埋もれていた感情です。
日本統治下の朝鮮半島・釜山沖にある影島から日本へ移り住んだ主人公ソンジャの数々の苦労と受けた差別の積み重ねがひしひしと伝わってきます。そんなソンジャの成年期を新人女優のキム・ミンハが見事に演じ切って、映画『ミナリ』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したユン・ヨジョンが演じる老年期へと繋いでいます。ほか、イ・ミンホや南果歩、ヒョンリ、ジン・ハらが出演しています。
『Pachinko パチンコ』 Apple TV＋にて配信中
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