『G線上のあなたと私』(2019年)


今年大ヒットした『silent』(フジテレビ系)は、恋愛ドラマなのに考察ができることでも話題を集めました。放送が終わるたびに、「これ、どう思う?」と意見を交換し合ったりするのも楽しくて。今回紹介する『G線上のあなたと私』(TBS系)は、まさに考察系恋愛ドラマの走りとも言える作品だったと思うんです。“語りたくなるドラマ”というか。なので、『silent』にハマった人にはぜひ観てほしい!

まず、このドラマ、すべての世代の人に刺さるんですよね。アラサー主人公の主人公の小暮也映子(波瑠)が通うバイオリン教室には、学生の加瀬理人(中川大志)と主婦の北河幸恵(松下由樹)がいる。それぞれが人生と向き合いながら、どうにか幸せになろうともがいていて。原作者・いくえみ綾さんならではの世界観が、きちんと映像化されているんですよね。

なかでも、話題を集めたのが、桜井ユキさん演じる眞於先生のキャラクター。バイオリン教室の講師であり、理人が想いを寄せる(しかも、理人兄の元婚約者でもある……)眞於先生は、いわゆる放っておけない女。生まれながらのマドンナという感じで、一人でも生きていけそうな主人公・也映子とは正反対なタイプです。そんな2人のやりとりは、SNSでかなり話題を集めていました。

也映子「眞於先生は、一生周りの人から放っておけないと言われる人種です。いいですよね、放っておけないって。めちゃくちゃ言われたいワードです」

眞於「だったら、そう言えばいいじゃないですか。気にしてもらいたいのなら、待っているだけじゃなくて。誰かのスペシャルになる努力をしなきゃダメじゃないですか? 自分からは何もアピールしないのに、これでも弱ってる、察してくれって、その方がわがままな気がしますけど」

この台詞を聞いた時、令和のサエコさん(『失恋ショコラティエ』)が現れた〜! と思いました。でも、実際は眞於先生もいろいろ闇を抱えていたりするんですよね。すべての登場人物に、弱さがあって、強さがある。そんなところも、『G線上のあなたと私』を好きな理由です。

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『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年)

 

坂元裕二さんが紡ぐ物語って、どうしていつも胸の深いところをエグってくるのだろう。そして、登場人物の一つひとつの行動に、しっかり理由があるから、一瞬たりとも目を逸らすことができない。スマホを片手にドラマを観たり、倍速視聴をする人が増えていることを考えると、『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)は挑戦的な作品だったと思うんです。

「人生に失敗はあったって、失敗した人生なんてないと思います」

「どこが好きだったか教える時は、もうその恋を片付けるって決めた時だよ」

「人を傷つけるのは他人だから。慰めてもらうのも他人じゃないと」

登場人物同士の会話なのに、自分に語りかけてくれているような気持ちになるのが、坂元裕二マジック。バツ3の大豆田とわ子(松たか子)は普通に見えてちょっぴり変わっているところが魅力的だったし、彼女の元旦那たちはすっごく変わっていて面白かった。三者三様で、タイプがバラバラなのもまたいいんですよね。個人的には、オダギリジョーさん演じる小鳥遊大史が“沼”でした。後半から登場するので、ぜひチェックしてくださいね!

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