もっともっとスタッフが評価される世界になりますように


全体を通して思うことは、もうさんざん言われ続けていることですが、ドラマはホン(脚本)が命であるということ。自ら作品情報に深くリーチできるようになった今、視聴者の間でもキャスト目当てではなく、脚本家や演出家、プロデューサーといったスタッフ陣を重視する考えが広まってきた気がします。

 

『拾われた男』の足立紳は『百円の恋』『喜劇 愛妻物語』など映画界で高い評価を受けていた脚本家であり、来年の連続テレビ小説『ブギウギ』で朝ドラデビューを果たします。『石子と羽男』の西田征史は『小野寺の弟・小野寺の姉』で評価を高め、『とと姉ちゃん』をヒットさせた実力者。

『silent』の生方美久は一気にその名を世に知らしめましたし、その生方がリスペクトする坂元裕二もまたドラマファンなら知らない者はいないカリスマ。そして、三谷幸喜は1990年代からエンターテインメント界の第一線を走り続けてきた、おそらく日本で最も有名な脚本家でしょう。個人的なBEST5には入りきりませんでしたが、『エルピス-希望、あるいは災い-』の渡辺あや、『ファーストペンギン!』の森下佳子も、その人気と期待に応える作品を世に送り出してくれました。

さらに、『拾われた男』の井上剛や『鎌倉殿の13人』の吉田照幸はNHKを代表する名監督。『石子と羽男』の新井順子&塚原あゆ子のゴールデンコンビは今やドラマ界の顔ですし、『silent』の風間太樹は『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『うきわ -友達以上、不倫未満-』と佳作ばかりで今後がますます楽しみな若手クリエイター。

同じく『silent』の村瀬健といえばあの名作『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』のプロデュースを手がけた人物でもあります。『silent』と『いつ恋』に通じる静謐な世界観も、プロデューサーが同じと思えば納得ですよね。また、『エルピス』のプロデューサー・佐野亜裕美は今や新作が最も期待される1人。『ファーストペンギン!』『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』とハートフルな作品をつくり続ける森雅弘は日テレで最も信頼できるプロデューサーと言っていいでしょう。

こうした優れたクリエイターがその才能を自由に発揮できる環境こそが、これからの国内ドラマの豊かな土壌づくりにつながっていくのだと思います。ぜひここに挙げたスタッフの名前だけでも覚えていただけたら、来年からのドラマ鑑賞がますます楽しくなるはず!
 


文/横川良明
構成/山崎 恵

 

脚本の巧さに涙、涙...僕の心に突き刺さった傑作ドラマ5【エンタメベスト2022】_img0
 

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