この数年、エンタメ界を席巻する「推し」。2022年もその勢いは衰えを知りません。
ただ、一言で推しと言っても、いろんな種類があるもので。そのカテゴライズはオタクの数だけありますが、個人的には2種類の推しに分けられると思っています。
1種類目の推しは、「神棚に飾っておきたいタイプの推し」。ただその存在にひれ伏し、才能を崇拝する。いわば、この感情は推すというより「信仰」。だから、接触イベントなんて軽々しいネーミングは似合わない。どっちかって言うと、「謁見」です。御簾の向こうに、シルエットだけが浮かんでいる。それくらいの距離感が、適正値。推しが笑えば家内安全、五穀豊穣、無病息災で国家は安泰なのです。
そんな「神棚に飾っておきたいタイプの推し」の対となるのが、「ソファで隣に座ってほしいタイプの推し」。会ったこともないのに、なぜか体温が伝わってくる。人肌感に、抱きすくめられたような気持ちになる。飲むと夢に出てくると聞けばヤクルト1000を定期購入し、パブサしたときに「彼女」なんてサジェストが出た日には心臓が止まる。いわゆる「リアコ」「ガチ恋」と呼ばれる、例のあれです。
そんな「リアコ製造機」は芸能界にもたくさんいますが、中でも僕が「リアコ感がヤバい」と思わずのけぞってしまうのが、俳優の坂口健太郎。昨年、「俺たちの菅波」で日本の朝の気温を2度ほど上げた坂口健太郎ですが、勢いそのままに今年も大活躍。今回は、坂口健太郎の2022年の歩みを振り返りながら、そのヤバさについて語らせていただきます!
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こんなにクリーンなのは、坂口健太郎かクリアクリーンくらい
とりあえず今年の坂口健太郎は1年にわたって出ずっぱり。日本の水道と同じくらい供給が安定していました。特に、『おかえりモネ』(NHK総合)の菅波先生以降、坂口健太郎のパブリックイメージとなっている真面目で素朴な人柄は、『鎌倉殿の13人』(NHK総合)の北条泰時役でさらに揺るぎないものに。
裏切りと策略が入り乱れる地獄の鎌倉でも決して失われない純真さ。今や坂口健太郎は清潔感という言葉が日本で最も似合う男性です。クリアクリーンか坂口健太郎かっていうくらいクリーン。たぶん出身地は府中じゃなくて花王だと思う。
そんな誠実さは、映画『余命10年』でも存分に発揮されていました。難病を抱えるヒロイン・茉莉を一途に愛する和人を好演。特に、茉莉から余命わずかであることを打ち明けられるシーンでは、子どものように泣きじゃくり、耳を真っ赤にして這いつくばる姿が鮮烈で、悲痛さと心根の美しさを感じさせてくれました。
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