メーガン妃が長男アーチーを出産したとき、ふたりはプライバシーを守りたくて、生まれてすぐに夫婦で病院の階段に立ち、マスコミの前で赤ちゃんを抱いた姿を見せるという王室の慣習を破ったんですよね。どこの病院で出産するかも知らせずに、出産後9時間経ってからようやく出産をインスタグラムで公表し、記者の前にはハリー王子が単身で現れた。



これについて当時、マスコミの記者がものすごい不満を垂れてふたりを叩いていたのです。「王室は我々の金で生かされているのに子どもを見せないとは何様なんだ」、と。

子どもを守られた安全な環境下で静かに生んで、産後は心身ともに落ち着いてからマスコミの前に登場したい。そんな、普通の人なら当たり前のように理解して受け入れられるような望みさえ、ロイヤルファミリーだからと否定され、批判される。これって人間の尊厳が尊重されていないと言ってもいいのでは?

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お披露目は誕生から2日後の5月8日、ウィンザー城にて行われた。写真:代表撮影/ロイター/アフロ

パパラッチに追い詰められてメンタルを病んだ故・ダイアナ妃の悲劇があったにも関わらず、そこから結局何も学べずに、今でもロイヤルファミリーのプライバシーは当然のように侵され続けている。ふたりがいちばん訴えたかったのはそこだったはずなのに、お金遣いの荒さや常識の無さばかりがフィーチャーされてしまい、この出産の件をきっかけに、メディアのハリー&メーガンバッシングは高まっていくことになったのです。

 

メーガン妃たちがもっと上手に立ち回ってメディア関係者を味方につけることができればよかったのに、ふたりは王室関係者もマスコミも、両方を敵に回してしまったのですね。「いやいや、したたかだから王子と結婚して王室離脱までさせたんだろう」という意見もあるかもしれませんが。私は、本当にクレバーだったらここまで王室と対立するような立場に自分たちを追い込んでいないと思うんですよねえ。

決められたルールに則って立ち振る舞わねばならない立場だったのに、発言の仕方がまずかったために、正当な要求や意見さえも「またあの夫妻のわがままか」と色眼鏡で見られるようになってしまった。という側面もあるのではないかと、今回この作品を観ていて感じました。

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Netflixドキュメンタリー『ハリー&メーガン』配信中 ©︎Netflix

と言っても、王室というシステムが存在しないアメリカではこのふたりが自由を求めて渡米したり、家族のプライバシーを守るために戦っている姿は概ね好意的に受け止められているようで、批判の声が多いのは主にイギリスと日本のようですが。

ドキュメンタリー番組制作の次は、ハリー王子による暴露本『スペア』の出版が控えています。果たしてふたりは、世界からの共感を得られるのでしょうか。
 

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