アメリカ人男性と結婚した妻の裏話


雪美さんがアメリカ人であるご主人と出会ったのは、28歳の頃。当時雪美さんはCAとして世界中と飛びまわっていましたが、同じく国際結婚された同僚宅のホームパーティーで2歳年上のご主人を紹介されました。

もともと帰国子女で英語が堪能だった雪美さんと彼はその場で意気投合し、すぐに交際に発展しました。

「これは余談ですが……夫は外資系企業勤めで、日本に駐在していました。彼とは気が合ったし、優しい性格と日本人とはちょっと違うノリの良さに惹かれました。でも絶対に避けたかったのは、日本駐在中の彼の“一時の女”になること。日本で一時的に遊ぶだけの恋人になるつもりはない、付き合うなら将来もきちんと考えられる関係でないと嫌だと言うと、彼は『それはもちろん』と答え、すぐに同棲することになりました」

交際は順調でしたが、しかしその後、二人が結婚するまでに3年ほどかかりました。雪美さんは昔から子どもが大好きで早く家庭を持ちたかった一方、ご主人はなかなか煮え切らない様子だったと言います。

「恋人として二人の関係は順調でした。でも正直なところ、白人である彼は、やはりアジア人と結婚するのに抵抗があったみたいです。こればかりは仕方ないとは思いますが、すでに2年以上同棲しているのに、結婚の話になるたび『文化の違いが……』『もう少しお互いを理解してから』など逃げ腰な彼にだんだんとイライラして……。

あるとき勝手に結婚式場の予約を一人でしてしまったんです。私は子どもが欲しいから年齢的にももう待てないし、後悔だけはしたくない。1週間以内なら式場のキャンセル料はかからないから、それまでに結婚するか別れるか決めて欲しいと言いました」

するとご主人は、雪美さんの行動に驚きながらも、意外とすぐに結婚を決断されたそう。 

よく婚活ノウハウで「煮えきらない彼には期限を設定すべき」というテクニックを聞きますが、たしかに同棲というぬるま湯状態の中、男性に結婚を決意させるには、逃げ場のない交渉をすべきなのかもしれません。女性側も勇気のいる試みです。

 

そして結婚後、タイミング良く韓国への転勤が決まったご主人。雪美さんは長年腰のヘルニアに悩まされていたこともあり、仕事を辞めて駐在生活をスタートさせました。

「半年ほど海外の新婚生活を気楽に楽しんでいましたが、ぼんやりと『なかなか妊娠しないな……』と思い始めました。そこで検査をしたところ、子宮に少し大きめな腫瘍があることがわかったんです。良性だけど妊娠の妨げになっている可能性もあるから、とってしまった方が良いと言われ、手術をしました」

 

手術は無事成功したものの、その後も原因は分からないまま自然妊娠することはありませんでした。雪美さんは本格的な不妊治療の必要性を感じましたが、海外での治療は費用が高額になるうえ、言葉の壁もあり、なかなか不安だったそう。

そこで、雪美さんだけ日本に帰国することにしたのです。

「不妊治療をするなら、やはり言葉がきちんと理解できる日本でしたいと思いました。韓国と日本なら、国内とさほど距離も変わりません。私は実家のある大阪で病院を探し、夫には必要に応じて渡航してもらうことにしたんです」

そうして夫婦は遠距離婚・不妊治療を同時開始することになりました。けれどこのときは、この治療が10年に及ぶとは、雪美さんはさすがに想像していませんでした。