主人公の翔は、大手商社に勤めるサラリーマン。高学歴でエリート意識の高い彼は、ちょっと気に食わないことがあると高圧的な態度に出るなど、専業主婦である妻の彩に対して専制君主のごとくふるまいます。それは、厳格で亭主関白な父親の背中を見て育った彼にとってごく当たり前の行為でした。

 

しかし、翔の態度が幼い娘・柚にも悪影響をおよぼしていることを悟った彩は、ネットでDVやモラハラに関する情報収集を重ね、家を出ることを決断。ある日突然実行に移します。

 

なぜ従順な妻が何も告げずに出ていってしまったのか──まったく心当たりがない翔は、相も変わらず高圧的なメッセージを彩に送り続けます。もちろん、そんなことをしてもなしのつぶて。妻が自分に反旗を翻したという現実を受け止められない翔は、次第に神経をすり減らしていくのでした。