SNSでの「いいね」やコメント数、知り合いの「キラキラ投稿」に一喜一憂したことはありませんか。今や「SNS疲れ」なんて言葉もあるほど、ソーシャルネットワークは第二の生活圏になっています。でも実世界と違うのは、「裏アカ」を作れば別人格を作れるところ。日常ではとても見せられない過激な投稿にハマってしまった女性の闇を描いた『女はいつまで女ですか? 裏アカ主婦・結衣が堕ちた地獄』が12月1日に発売されました。本作は『女はいつまで女ですか?』シリーズの第二弾で、今回も夫に「女」として見られなくなった主婦が主人公です。

 

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産後ダイエットのモチベーションをあげるため、日々の運動内容と体型をSNSで投稿していた主婦・結衣。ある日、一通のDMが届いたことからすべてがはじまります。

 

いい歳して恥ずかしくないの?
結衣はもう四十路だろ?

そう言い放つ夫。自分は女として終わっているのだと感じた結衣は、この下着を買ってしまいます。彼女は次女を産んで12キロ太った時、夫とセックスレスになったのがショックで、必死にダイエットに励んでいたのでした。もう太るなんてうんざり。そして、育児や家事を手伝うことなく、口だけうるさい夫への不満も溜まっていました。

自分の"女"を試したい。結衣は、このDMをきっかけにSNSの「裏アカ」で下着姿をアップするようになりました。上半身だけの投稿でも食いつきはものすごく、RTやいいねの数、コメント欄でチヤホヤされて彼女はたちまち夢中になります。子どもが昼寝するわずかな時間でこっそりと別室で下着姿を撮って投稿すると速攻で反応が。

 

ディスられると思い出すのは夫の言葉。

「いい歳して恥ずかしくないの?」

せめてSNSの中だけでは女でありたいと願い、結衣は下着姿をこそこそと投稿し続けるのでした。

結衣夫婦は、都内屈指のベッドタウンの分譲マンションに引っ越してきたばかり。ここに住むママたちは、子どもの送り迎えだけなのにハイブランドの服やバッグを身につけてきらびやかな姿をしています。「今の私が行ったらスルーされそう」結衣はかすかな劣等感を覚えるのでした。

表面的には優しいけれど女としての結衣は拒絶する夫への不満。結衣の心のよりどころは裏アカしかなくなり、もっと女としての自分を褒められたい、と承認欲求がどんどん高まった彼女はこんな投稿をします。

 

こんな自分でもSNSの中では貢いでくれる男性がいる。まだ女として価値があるのかな⋯⋯と思う結衣なのでした。

そして次女を入れた保育園で知り合ったママ友二人との関係も結衣の心に影を落とします。同じマンションの上の階に住む彼女たちはやっぱりきらびやかで綺麗。誘われたランチ会で判明した二人のスペックの高さに劣等感が募るばかり。

 

さりげなく始まるマウント大会に疲れた結衣。後日会った独身の旧友に、ママ友たちの美貌と意識の高さを語ると「奥様バトル」「主婦同士のそういうのってワンパターンよね」とズバッと言われます。

 

友人の言葉に少し心を動かされるも、誰かに認めてほしい欲望がおさまらず、下着姿を投稿するのをやめられない結衣。夫には絶対にバレたくない彼女の「裏アカ」はどうなってしまうのか。そして「全部揃ってる」ように見えるママ友二人のとんでもない「裏」も明らかに⋯⋯。

ドイツの文豪・ゲーテが言うように、どんな人も「光が強ければ影もまた濃い」はずなのに、結衣のようにキラキラな部分だけを見て他人を羨んだり妬んだりしたことはないでしょうか。でも、光輝く面ばかりを他人に見せている人は「光で飛ばす」演出をしているだけなんですよね。光で飛ばしてもシミもシワも消えたわけではなく、そこにあるんです! そういえば主人公の結衣の顔にソバカスがあるのも象徴的。
女性の影の部分を描き出す『女はいつまで女ですか?』シリーズ。影を隠すのに必死な登場人物たちに危うさを感じつつ、女性ならどこかで味わった覚えのある感情に共感できるのです。

 

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『女はいつまで女ですか? 裏アカ主婦・結衣が堕ちた地獄』
上野 りゅうじん (著)

セックスレスをきっかけに匿名の裏アカウントで過激な投稿を始めた平凡な主婦・結衣。
人知れず承認欲求を満たしていたが、「完璧な母親像」を体現するママブロガーや
若さを武器に不倫を繰り返す主婦に触発され、次第に歯止めを失っていく。
そしてとうとう裏アカが発見され⋯⋯。ただ“女”でいたかっただけの主婦が、自分の中で見つけた“女”に追い詰められていく物語。

上野 りゅうじん
2017年に『うちのへそ曲がり!!』でデビュー。ママスタセレクト漫画・記事挿絵など不定期連載中。『オカンDAYS』 (講談社)、『ママのうつ病をなめてたら死にそうになりました』(ぶんか社)が発売中。近刊に漫画で参加した『マンガでわかるポイント投資 100ポイントあったら「株」を買いなさい!』(安恒理 著、講談社)などがある。
Twitterアカウント:@U_ryu_jin
Instagramアカウント:@ueno_ryu_jin

 

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構成/大槻由実子
編集/坂口彩