住宅ローン商品のうち変動金利の商品については短期金利に連動する仕組みになっており、短期金利が上昇すると、その分だけ銀行に対する支払い額が増えることになります。
もし金利が上昇する前にローンの支払いを終えることができれば、有利な条件のままで完結できますが、返済期間中に金利が上昇した場合、かえって損が大きくなるケースも出てきます。問題は金利が上がるにしても、いつのタイミングなのかという点ですが、金利が上がるタイミングを予測するというのは、専門家でも極めて難しいテーマであり、基本的には不可能と考えるべきです。
筆者は今後の住宅ローンの組み方については、どちらが金銭的に有利かという視点では考えない方が良いと思っています。
変動金利が良いのが固定金利が良いのかについては、自身がどれだけの支出増に耐えられるのかという、オーソドックスなリスク管理の観点で選択すべきでしょう。
もし固定金利の商品を選んだ場合、今のところ変動金利よりも金銭的に損ですが、これから経済がどのように変動しても銀行に支払う額に変化はありません。一方、変動金利の場合、金利が大幅に上昇すると、支払額が急激に増えることになります。
例えば、夫婦共働きで、二人ともそれなりの収入がある、あるいは相応の貯金を持っているなど、家計に余裕がある世帯の場合には、仮に金利が上昇して支払額が増えても、(程度にもよりますが)何とか対処できると思います。
しかし、家計の収支がギリギリの状態で変動金利のローンを組んでしまうと、最悪の場合、ローンの支払いが滞る可能性があります。家計に余裕がない世帯の場合、最悪のケースを回避するという意味では、固定ローンを選択した方が良いと考えることもできます。
これまでの時代は金利はほぼゼロであり、この状態が遠い将来も変わらないというのが常識でした。少なくとも今回の日銀の決定によって、その常識は少しずつですが、変わり始めたと考えるべきです。住宅ローンというのは20年、30年という長い期間にわたって家計に影響を与えますから、これからローンを組む人はより慎重に商品を選択してください。
前回記事「【2023年、経済はどうなる?】物価上昇は一段落の見通しも…価値観を見直し、大事なものだけを選び取る時代に」はこちら>>
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