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時が経つのは早いもので、あっという間に2023年がやってくることになりました。2022年は歴史的な円安が到来し、輸入品を中心に物価が大きく上昇するなど、多くの人にとって厳しい1年だったと思います。年初はコロナもそろそろ収束するのではないかとの期待感も高まりましたが、円安と物価上昇によって、前向きな気持ちも吹き飛んでしまったかもしれません。

 

2023年における最大の関心事はやはり物価動向でしょう。

電力会社が春からの値上げを国に申請したり、4月までに4000品目以上で値上げが予定されるなど、物価上昇の傾向が続きそうです。しかしながら、一連の値上げは、来年前半でひと区切りとなる可能性が見えてきました。その理由は米国が金利を引き上げてインフレ抑制を進めた結果、2023年は景気が悪くなる可能性が高くなってきたからです。

もし世界経済が減速するような事態となれば、原油価格や天然ガスの価格が下がりますから、物価上昇が一段落する可能性が高まります。日本の場合、日銀の総裁人事という大きなイベントも加わります。

2023年4月には日銀の黒田総裁の任期が切れ、新しい総裁が就任する予定です。現時点で誰が新総裁になるのかは分かっていませんが、新総裁が従来の金融政策からの転換を表明した場合、円安に歯止めがかかるかもしれません。そうなると、物価上昇も一段落することになるでしょう。

加えて、3年間、猛威を振るってきた新型コロナウイルスも、いよいよ終息の目処が立つかもしれません。物価上昇に歯止めがかかり、コロナも収束の方向性が見えてくるとなれば、世の中の気持ちも少しは前向きになると思います。

筆者は2022年の年初、本コラムにおいて、コロナの影響によって仕事の進め方や人付き合いが変化しており、自身のライフスタイルについて見直す必要があるという話をしました。

コロナによって会社の飲み会などが制限されたことで、本当に付き合うべき相手は誰なのか再認識した人も多いのではないでしょうか。つまりコロナをきっかけに、社会はプライベートな価値観をより重視する方向に流れ始めたと考えてよいでしょう。実はこうしたコロナによる社会の変化と、物価上昇という経済的変化は裏でつながっています。

 
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