猫を飼うにあたって、保護猫を選択する人が確実に増えています。また、飼うつもりはなかったものの、道端で親猫とはぐれた子猫を見つけて保護したのをきっかけに、うちの猫になってしまったというケースも少なくありません。動物用ミヤリサン製薬のウェブサイト「HuPele(ヒューペル)」と「コミックDAYS」で連載中の『猫を拾った話。』も、普通のサラリーマン男性が猫を拾った話ではあるのですが、その猫がかなり普通と違っていたのです。

『猫を拾った話。』(1)  (コミッククリエイトコミック) 


動物が苦手なサラリーマンが、子猫を拾った理由。


主人公のサラリーマン・イガイは、小さい頃から動物全般が苦手でした。ある雨の日の帰り道、道端でよろよろと歩く黒い子猫を目にします。後ろ足が片足しかなく、3本足だったこともあり、道行く人に「うわキモっあっち行け」と言われる始末。

 

大人になった今は、会社で周囲に気を遣う毎日で、イガイに動物の面倒まで見られる余裕はありません。でも、いまここで自分があのみすぼらしい子猫を見捨てたら確実に死ぬ。そう思ったイガイは、居ても立っても居られなくなり、子猫を家に連れて帰ります。

 

1kgくらいの小さな猫で、握りつぶせそうなくらいの儚い命。動物に不慣れながらも体をきれいにして、ミルクや子猫用フードを与え、かいがいしく世話をします。手にすり寄ってくるようになり、体もしっかりしてきて、順調に成長していくのですが、どうも何かがおかしい。3本足だけれども、もふもふの黒い毛をまとって、ゴロゴロすり寄ってきたり、にゃーと鳴いたりしているので見た目や姿かたちは確かに猫のはず。

 
 

見た目や行動は猫なのだけど、何かが違う!


しかし、しっぽの先は数本の指のように枝分かれしているし、顔の真ん中には、巨大な目が一つあるだけ。

 

また、なぜか顔に鼻は見当たらず、食べ物をほおばる口もどこか変。

 

何より、保護して一ヶ月後には、イガイの体を上回るほどの巨体に! イガイが拾ってしまったのは一体何だったのか? イガイを押しつぶしてしまいそうなくらい大きくなっていても、イガイに懐いていて、猫なで声をあげています。

 

そんなイガイと謎の“ねこ”(名前は“ねこ”になった)が繰り広げる日常を描いている本作ですが、とにかく癒やされる!! 明らかに猫じゃないのに、フミフミしてきたり、毛づくろいをしたり、肉球がぷにぷにしていたり、段ボールに無理やり入ろうとしたり、というのは猫そのもの。

 

マンガ担当の寺田亜太朗さんがツイッターに投稿したマンガから連載へとつながった本作。単眼巨体ネコの正体が気になりつつも、何よりかわいいので「ま、いっか」という気持ちになります。きっとイガイも同じ気持ちだからこそ、深く考えることは早々に放棄して“ねこ”との暮らしを受け入れているのでしょう。

猫を飼っている人なら「わかるわかる!」の連続で、生き物を保護して育てることの大変さにもしっかり触れています。苦労することも少なくありませんが(得体の知れない“ねこ”を保護したイガイは特に!)、猫からそれを上回る癒やしや前向きなエネルギーをもらえるから今日もがんばれる。昨年10月にはクラウドファンディングで“ねこ”のぬいぐるみ化プロジェクトが成功して、幼い頃の“ねこ”を再現したぬいぐるみの量産化が決定。12月14日に単行本4巻が発売され、ますますパワーアップしています。一度読んだらそのシュールさとかわいさに心をわしづかみにされること間違いなし!

 

【漫画】『猫を拾った話。』第1話を試し読み!
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『猫を拾った話。』
本多八十二/寺田亜太朗 講談社

「これからは、こうでなくてはいけないですね。」(お化け友の会・京極夏彦) 
拾ったら、単眼。育ったら、巨体。ツイッター発、異形のモフモフと普通に暮らすまんが!