一国民として、謙虚になれるのが一般参賀の良さ


受付にすすむと、当選番号に記された記号ごとに入り口がわかれていました。イだったので「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」……と並ぶ中「イ」の入り口へ。宮内庁の腕章をつけた上品な男性が「こちらです」と案内してくださいました。それぞれ全員分、紙で名簿が出力されており、身分証明書と照合。QRコードではなく紙を参照するところに、由緒正しさが漂っています。

そのあとは、手荷物がある人は検査場へ。巷のコンサートの荷物検査よりよほど厳しい、バッグの中身をじっくり目視される検査を久しぶりに体験し、懐かしさにかられました。以前、ポーチの中身まで開けられたこともありました。そのあとは金属探知棒によるチェックです。男女の警察官2名に同時に前から後ろから探知され、まるで2人に施術されるエステのような手厚いサービスを受けているような充実感でした。3年ぶりなので何もかもが感慨深いです。

イラスト/辛酸なめ子

検査のあとは、砂利の広場で待機。並んでいる間は、だいたい晴れて光が差していましたが(エンペラーウェザー)、時々雲がかげって寒さが強くなる瞬間も。でも、立ちっぱなしで寒くても文句を言う国民はほとんどいません。多分みなさんほとんどがリピーターで、一般参賀に並ぶときの心得を知っていたのだと思われます。3年ぶりの一般参賀を体験できる期待感や、当選を通過した喜びで、その場はポジティブな空気になっていました。

当選番号に記されたカタカナの列に並びます。

広場では、ポールで仕切られた列の中、ア、イ、ウ、エ、オなどの記号ごとに、整理番号順に並ばされて、かなり厳密に管理されています。何も考えずに誘導に身を任せる安心感に包まれました。久しぶりに一般参賀での、従順な気持ちを思い出しました。一国民として、謙虚になれるのが一般参賀の良さ。この日の準備をしてくださった宮内庁や皇宮警察への感謝の思いを高めつつ、厳かな気持ちでその時を待ちます。

(次回、いよいよお出まし!)

 

構成/露木桃子
 

 

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