3回目の食事で「結婚を前提に」。しかし気になる兆候が……


「店長になり、インテリアや内装を変える予算と権限をいただいたので、近所の業者さんに相談しました。そのときの営業担当が、圭佑です。彼は世間知らずの私に親切にしてくれて、施工が終わってからも『お客様の反応はどうですか?』とお店に顔を出してくれました。ただ、よく違う女の子を連れて店の前を歩いていて……ああモテるひとなんだなと思っていました」

圭佑さんは涼子さんを熱心に誘い、やがて食事に行くように。仕事中張りつめている分、プライベートではのんびりしている涼子さんにとって、快活でリードしてくれるタイプの圭佑さんと一緒にいるのは楽しかったと言います。

「お店の内装工事のときに、売上や予算、好みなど、ざっくばらんに相談していたので、なんだか初めから肩の力を抜くことができました。それに彼はインテリアのセンスが良くて、意見を聞くのも楽しかった。3回目に食事に行ったとき、『色々な女の子を見たけど、涼子が理想のひと。結婚前提でつきあって』と今思えば前のめりすぎる告白をされました。私も彼の勤務先や仕事の有能ぶりは見ていたし、信用できる気でいました」

涼子さんと圭佑さんが結婚したのはその1年後。それぞれ25歳と30歳のときでした。 

 

しばしば「モラハラ夫」と結婚した妻に、結婚前に予兆はなかったのですか? と訊くと、結婚前はとても優しかった、という答えが返ってきます。圭佑さんの場合もそうでした。しかし涼子さんは当初から気になることはあったと言います。

 

まず、涼子さんが店頭不在時、お店のスタッフに対する態度が横柄だったこと。たまたま部下が話すのを耳にしてそれを知ったとき、涼子さんの前ではそんな素振りがなかったので人違いかもしれないと思ったそうです。また、職場の後輩にあたる職人さんと買い物に来た圭佑さんが、度が過ぎて「いじって」いたこと。このふたつは、涼子さんの中でもやもやする原因となっていました。しかし2人きりのときはとても優しい。結局は無理に自分を納得させたといいます。

結婚後ほどなくして妊娠、出産した涼子さん。すると圭佑さんの態度が急変したのです。