花嫁候補から“ひとりの人”へ
男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年。おそらく、今ドラマの脚本を書いたり演出を手がけている主流層は、“均等法後に生まれた世代”に切り替わりつつあるのではないでしょうか。それゆえ、「男女が一緒に働いたら必ず恋が生まれる? は? 何それ」という感覚なのではないかと思います。仕事は仕事、恋愛は恋愛。出会いはアプリで探す。それはすなわち、新しい世代が働く女性を“人”として見ているから、という証に他ならないのではないかと思うのです。
そう考えると、恋がないお仕事ドラマ現象は今後もさらに浸透していくと思われます。いや、そもそも「お仕事ものに恋がともなわなくなったなあ」なんて思うことがもう、時代錯誤なのかもしれません。だってに今の世代の人たちにとっては、男性だろうが女性だろうが最初っから“一人の人”として働く、ということが当たり前なのでしょうから。むしろ昔のお仕事ドラマを見て、「この時代は仕事に必ず恋が絡んできていたのね、大変ね」なんて真逆の気づきを得るぐらいかもしれません。
146カ国中116位と、先進国の中でもワーストと言われる日本のジェンダーギャップ指数。それでも遅いなりに前進こそすれ、後進はしていないのかもしれない……。そんなふうに精一杯前向きに捉えて、今期も多くのドラマを楽しんでいきたいと思います。
取材・文/山本奈緒子
構成/坂口彩
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