SNSが普及し、誰もが“発信者”として、自分の経験や意見を自由に表現することができる時代になりました。ブログやインスタグラムの投稿を重ねて、ずいぶん文章もこなれてきたし、せっかく身につけたスキルを、仕事にもつなげられたら……。そんな想像をしたことはありませんか?
〔ミモレ編集室〕実践講座では、「ビジネスライティングとキャリア」をテーマにした、3回連続講座を開講中。ミモレ本誌『これからのキャリアの話をしよう』でお馴染みの、株式会社Waris共同代表 田中美和さんから、ビジネスライティングとは何か、どのようなニーズがあるのかについて、お話を伺いました。
今、ビジネスライティングが注目を集める理由とは?
「ビジネスライティング」とは、“ビジネスにおいて必要となる文章”のこと。まず思い浮かぶのは、メールや企画書、報告書などでしょうか。ビジネスの領域での文章を書くスキルが求められるシーンは、より多様になっています、と田中さん。その理由は、企業が自ら発信する機会が増えてきていることにあるそうです。
具体的にはどのようなニーズが生まれているのか、事例をみていきましょう。
ニーズ① SNSアカウントの運用
企業がSNSアカウントを持って、自社そのものや製品・サービスをPRすることは、珍しくなくなりました。ツイッターやインスタグラムの発信を通じて、ファンを増やすのが狙いです。
お堅いイメージだった企業の意外にゆるいつぶやきや、製品開発の裏話を読んでいるうちに、親しみが湧いてくることって、ありますよね。
ニーズ② プレスリリースなどのPR文
広報・PR部門では、会社を代表して会社や製品に関するニュースを広く伝える「プレスリリース」などを執筆する仕事があります。
広報部があるのは規模の大きな会社だけなのでは?と思いがちですが、今は、中小規模の企業でのPR部門の立ち上げが、盛んになっているそうです。田中さんが共同代表を務める株式会社Warisにも、PR人材の求人が多く持ち込まれているのだとか。
ニーズ③ 採用活動サイト向けの、メッセージやインタビュー記事
自社の認知度や好感度をアップさせることは、採用活動の重要なミッション。社長のメッセージや、社員のインタビューを採用サイトに掲載するといった情報発信が、盛んに行なわれています。
ただし、聞いた話をそのまま文字に書き起こしただけでは、読み手に思いが伝わりづらいため、いかに分かりやすく記事に仕立てられるかが、ライターの腕の見せ所になります。
ニーズ④ マーケティングの一環としての、製品・サービスのPR
自社の製品・サービスのよさを伝えるために、PR記事をウェブサイトに掲載することも欠かせません。ポイントは、製品の優れている点や活用事例を、お客様の言葉で語っていただくこと。「自分語り」よりも、ぐっと説得力が増しますよね。
情報発信したい組織すべてから、ニーズあり!
これまで、PRのためのコンテンツの作り手は、マスメディアや広告会社などに限られていました。しかし今では、企業にとどまらず、学校や、自治体といったさまざまな団体が、自分たちのメディアを持って、情報発信できるようになっています。
つまり、情報発信したい組織すべてに、ビジネスライティングのニーズが広がっているのです。
田中さんのお話を受けて、「ビジネスライティングが何かを知らなかったけれど、まさに自分がやっている仕事でした」「相手に合わせて伝え方を工夫するスキルは、仕事以外にも活用できそう」といった、参加者の声が聞かれました。
講座の締めくくりに、田中さんから参加者へのメッセージをいただきました。
「“文章で伝える力”は、汎用性があり、とてもニーズの高いスキルだと感じています。会社員として働きながら、他の企業のPR記事を請け負っている方もいらっしゃいますし、書く側の立場を経験することで、ライターさんへの発注業務がよりスムーズになる効果も期待できます。
ライティングの技術は、とにかくたくさん書くことで上がります。個人のブログなどでもいいですが、できればフィードバックを受けられる環境で書くことを、オススメしています。すぐに仕事を受けるのはハードルが高ければ、報酬を得ないプロボノ(スキルを活かしたボランティア)から始めてみる方法もありますよ。
ビジネスライティングのスキルで、皆さんのキャリアを一層広がりのあるものにしてもらえたら、嬉しいです!」
「ビジネスライティングとキャリア」をテーマにした、3回連続の本講座。続く第2回、第3回では、ビジネスライティングに必要なスキルや、仕事への具体的な活かし方について、学んでいきます。気になる方は、ぜひ〔ミモレ編集室〕を覗いてみてくださいね。
言山寧子さん
風の向くまま、気の向くまま。美を求めて、東へ西へ。
儚く美しいもの、古く味わいのあるものが好きな、都内在住の会社員です。
いつか京都でブックカフェ兼ギャラリーを開くという野望を抱いています。