『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(2018)
現在『星降る夜』の深夜役で話題を集めているディーン・フジオカさん主演の『モンテ・クリスト伯 ー華麗なる復讐ー』は、ディーンさんのハマり役っぷりと、脇を固める人々の悪役っぷりがとにかくすごかったです。ディーンさん演じる漁師の柴門暖は、漁師としての腕も認められ、恋人のすみれ(山本美月)へのプロポーズにも成功し、幸せの絶頂。ところが何者かの策略で無実の罪を着せられ、異国の地に投獄されることに。
8年の月日が過ぎ、もう命が尽きようかというとき地下牢の床からファリア真海と名乗る男(田中泯)が現れ、暖は自分が複数の人間にハメられてこんな目に遭っていることを知ります。ファリアから知識や教養を学び、復讐という目的を持ったことで元気を取り戻した暖は脱獄に成功。モンテ・クリスト・真海と名前を変え、復讐を遂行していきます。
素性を知られぬため名前を変えて……とはあるけれど、顔も声もどうみても完全に暖だろうというツッコミはさておき、展開が面白くて夢中になってしまう作品でした。念のためお伝えしておくと、ディーンさんにハマっているのは真海のほうです。気品あるものごしとミステリアスさがたまらない。
怖いのが、暖をおとしいれた人たちの半数は、暖の親友・幸雄(大倉忠義)や先輩・神楽(新井浩文)など、もともと親しくしていた人たちなこと。幸雄は暖が自分が好きだったすみれと結婚するから、神楽は暖が自分より先に出世したという嫉妬から彼をあんな目に遭わせる点です。いくらうらやましいからって、自分を信頼している相手にそこまでできるのか。人の嫌な部分を見せつけられる物語でもあります。幸雄なんてちゃっかりすみれと結婚して子供まで生まれていて、完全に暖が得るはずだったものを横取りしています。
でもこの悪役たちの演技こそが、作品の見どころのひとつなんです。みんな本当にクズ。大倉忠義さんの美しくて最低なクズっぷりと、暖をおとしいれた一人である警視庁・刑事部長の入間公平(高橋克典)の妻・瑛理奈(山口紗弥加)の狂気の演技が個人的におすすめです。2人とも怖すぎるし演技うまくて最高。高橋克典さんの悪役は意外でしたが、一点の曇りもなく悪いやつでした。
また、個人的に岸井ゆきのさんを初めて認識した作品でもありました。岸井さんは真海も含め悪いことを平気でする人ばかり出てくるこの作品の中で、数少ない善人だった入間の娘・未蘭役で登場していました。
Comment