“歓び”があるからこそ、人を愛する。思い通りにならなくても、そんな気持ちは“美しい”
――さて、質問に戻ります。鈴木さん、「愛は○○」と入れるとしたら、何でしょう?
鈴木:これ、今までで一番難しい質問かもしれない……(笑)。「愛は〇〇」、いろいろ考えたんですけど、〇〇だと断言できないから、きっと僕たちは映画を作るんだと思うんです。もし「○○だ」と言い切れるものがあったら、こんなに世の中にラブストーリーや愛に関する物語は生まれないんじゃないでしょうかね。
――なるほど。では、この映画を経た今のタイミングで辿り着いた答えがあれば教えてください。
鈴木:攻めますね(笑)。これはですね……、年少者から答えるべきかもしれない。
――承知しました。では、宮沢さんから(笑)。
宮沢:え!!(笑) そんな〜。
鈴木:愛is……。愛は……。愛とは……(笑)。うーん、悩みますが、単純にぱっと浮かんだもので言うなら、「愛は歓び」。JOYですね。そうじゃない部分ももちろんたくさんありますよ。だけど身勝手な愛も含めて歓び……かな。究極かもしれませんが、人間にとって“歓び”があるからこそ、人を愛するんじゃないですかね。
宮沢:むちゃくちゃ良い答えじゃないですか(笑)。
――先に答えたほうが良かったですか?
宮沢:いや、先に言ったところで「歓び」は出てこなかったと思います(笑)。
鈴木:英語で考えてみるとどう? 僕はJOYが出てきたんだよね。
宮沢:僕は、愛は……。直感的に出る答えなんですけど、「美しい」と思います。
――その心は?
宮沢:誰かのために何かをすることを僕はすごく美しいことだと思っていて、その結果が自分の思った通りにならないにしても、その瞬間は自分のことよりも誰かを幸せにしたいとか、それこそ亮平さんがおっしゃった誰かに“歓び”を与えたいとか、そういう気持ちというのはとても美しいものと思っているので、「愛は美しい」ですね。
――鈴木さんのおっしゃったJOYに対して、BEAUTYということでしょうか?
宮沢:「BEAUTY」というと、またちょっと違うんですよね……なんだか愛が狭くなる気がするんです。日本語の「美しい」というのは、もっと広い意味だと思うので、「愛は美しい」でお願いします(笑)。
短い時間ながら、投げかけた多くの、しかも究極の質問にとても真摯に丁寧に答えてくださった鈴木さんと宮沢さん。おふたりが映画『エゴイスト』の中で紡ぎ出した愛は、ゲイカップルによるものですが、多くの人が通るであろう“人を愛する形”としてとても身近であり、考えさせられるところがたくさんあるはずです。未見の方は、ぜひ映画館へ足を運んでください。
撮影/shitomichi
ヘア&メイク/宮田靖士(鈴木さん、THYMON Inc.)、Taro Yoshida(宮沢さん、W)
スタイリスト/臼井崇(鈴木さん、THYMON Inc.)、庄 将司(宮沢さん)
取材・文/前田美保
構成/坂口彩
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