昨年秋の東京国際映画祭のコンペティション部門で上演され、その時点で話題をさらった作品が『エゴイスト』です。原作は数々の名コラムを世に送り出してきた高山真が遺した生涯唯一の同名の自伝的小説。ゲイコミュニティをリアリティを持って描きながらも、「与えることで満たされていく、この愛は身勝手ですか?」という大きな命題について観客に問いかけるヒューマンドラマは、2月に全国公開されてからは、メディアでも大きく取り上げられ、各種SNSでも「今、観るべき映画」と絶賛コメントが絶えません。

3月12日に香港にて開催されるアジア全域版アカデミー賞『第16回アジア・フィルム・アワード』に、この作品から鈴木亮平さんが主演男優賞、宮沢氷魚さんが助演男優賞にノミネートされており、4月には台湾でも上演されるなど、この映画が創り出したうねりは世界へと動き出しました。

「ゲイと公言すると出世に響く」鈴木亮平と宮沢氷魚が得た現実への気づき【映画『エゴイスト』インタビュー】_img0
 

今回はゲイであり、ファッション誌の編集者として日常を送る主人公・斉藤浩輔を演じた鈴木亮平さんと、浩輔の恋人を演じた宮沢氷魚さんに特別インタビューを行いました。すでに映画をご覧になった方も多いかもしれませんが、映画が公開になった今だから話せることがたっぷり詰まったインタビューは必見です! 前編では、観た人がみな自分ごととして何か言いたくなるような、作品のリアリティについて語っていただきました。

 


鈴木亮平 Ryohei Suzuki
1983年3月29日生まれ、兵庫県出身。2006年俳優デビュー。2007年『椿三十郎』にて映画初出演。2014年にはNHK 連続テレビ小説『花子とアン』にてヒロインの夫役を演じ、2015年に公開された映画『俺物語!!』では、型破りな高校生の主人公役を演じた。2018年NHK大河ドラマ『西郷どん』で主人公の西郷隆盛を演じる。以降テレビドラマ『テセウスの船』(20)、『レンアイ漫画家』(21)、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(21)などに出演。映画『孤狼の血 LEVEL2』(21)では第45回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞をはじめ、第46回報知映画賞 助演男優賞、第34回日刊スポーツ映画大賞 助演男優賞、第95回キネマ旬報ベスト・テン 助演男優賞、第43回ヨコハマ映画祭 助演男優賞など多くの賞を受賞する。2023年4月、映画『TOKYO MER~走る緊急救命室~』の公開を控えている。

宮沢氷魚 Hio Miyazawa
1994年4月24日生まれ、サンフランシスコ出身。2017年にテレビドラマ『コウノドリ』第2シリーズで俳優デビュー。その後、ドラマ『偽装不倫』(19)、NHK連続テレビ小説『エール』(20)、映画『グッドバイ・クルエル・ワールド』(22)、『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』(22/声の出演)など、多くの作品に出演。初主演映画『his』(20)では数々の新人賞を受賞、映画『騙し絵の牙』(21)にて、第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。舞台に『BOAT』『豊穣の海』『CITY』『ピサロ』など。またNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』(22)への出演も話題を呼んだ。1月に公開された『THE LEGEND&BUTTERFLY』では明智光秀を熱演。


次ページ▶︎ どうしたら「その人」になれるか。どうしたら自分たちの物語だと思ってもらえるか

【写真】鈴木亮平✖️宮沢氷魚。インタビュー中もまるで『エゴイスト』の中のふたりを見ているよう
▼右にスワイプしてください▼