花粉症の基本治療とは? 日米の治療方針の違い。


山田:実は、日本とアメリカでは、好まれる治療方針が異なるのですが、まずは花粉症の薬についてご説明しますね。花粉症の薬は、大きく2パターンに分類できます。一つは飲み薬で、全身に効くもの。もう一つは目薬や鼻のスプレーで、それぞれにピンポイントで効くものです。こちらアメリカでは、飲み薬ではなく、目や鼻に直接使用するタイプのものを最初に処方します。実はそちらの薬の方が、想定的に副作用のリスクが下がるのです。

 

編集:そうなのですね! 知りませんでした。

山田:全身に効くお薬ですと、効果を効かせなくてよい臓器にまで効いてしまう……という可能性があります。一方、鼻のスプレーはほとんど鼻にしか効かないので、副作用が出たとしても鼻だけにとどまることが期待できるのです。アメリカで花粉症の治療薬と言えば、1番目の選択肢はステロイド点鼻薬です。鼻づまりや鼻水を抑えるのに適しており、全身の副作用が無視できるほど小さい、というよい点があります。

また、目薬ですが、飲み薬にも使用される「抗ヒスタミン薬」が目薬にもなっており、比較的安全に使用できます。注意点としては、コンタクトレンズとの相性が悪い種類もあるので、事前に用量用法をご確認いただいたり、薬剤師さんに直接聞いていただくのがよいですね。

編集:日本では、飲み薬を服用されている方が多いイメージがあります。

山田:そうですね。日本では、まず飲み薬が処方されると思います。もちろんそれも間違った考え方ではありませんし、飲み薬も進化が進んでいますよね。「眠気が出る」などの副作用を、限りなく小さくした飲み薬が、一般的には使われているのだと思います。

編集:では、飲み薬を飲んでいても症状がよくならない方は、新しい薬をすぐに試す、というよりは、目薬や鼻のスプレーを併用する、という治療がよいのでしょうか?