時代の潮目を迎えた今、自分ごととして考えたい社会問題について小島慶子さんが取り上げます。
先日、金沢でPrEPとU=Uについて知るイベントに登壇してきました。ちょうど兼六園の桜がきれいに咲いていて、昨年訪れた時よりも国内外の観光客が随分と増えたように感じました。
PrEPとU=U って、なんだか知っていますか? いずれもHIV感染に関する言葉です。私が専門家に教えてもらったのは2年前のこと。医療が目覚ましい進歩を遂げていることを知って、目から鱗が落ちました。
おっと、自分には関係ないと思わないで。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)には、誰でも感染する可能性があります。そう、あなたも私も。そして、いまだに誤った情報や偏見が残っています。だから「関係ないや!」と思ったあなたも、ぜひ知ってください。
大事なポイントは2つ。現在は「HIVに感染しないようにする予防薬(PrEP)がある」「HIVに感染しても、適切な治療を受ければ通常の生活を送れる。他人に感染させることもない(U=U)」ということ。医療現場や市民団体による啓発の成果もあり、現在、日本のHIV陽性者のほとんどは治療によってU=Uの状態にあります。かつては死の病というイメージがありましたが、今は感染していない人とほぼ変わらず天寿をまっとうすることができます。HIV感染は「薬によってコントロール可能な慢性疾患」という認識に変わっているのです。
課題は、こうした事実がまだあまり知られていないこと。古くて誤った情報に基づく偏見や差別が残っています。「HIV=同性愛者がかかる死の病」という40年前の認識のままの人もいるでしょう。予防法や治療法の正しい知識がないために感染を予防できず、感染しても気づかずに広げてしまうこともあります。HIVには、誰でも感染する可能性があります。最新の状況を知って、認識と知識をアップデートすることがとっても大事なのです。
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