「発達障害もどきかも」という気づきは、変わるチャンス
まず覚えておいていただきたいことがあります。それは、「今の子どもの状態がすべてではない」ということです。脳はいつまでも、成長し続けます。つまり、小さい頃に気になる行動があったからといって、一生それが続くとは限らないということです。脳が成長し、発達の凸凹が目立たなくなれば、診断がついていても症候が薄くなることだってありえます。成長の速度は人それぞれですが、皆、成長していくのです。
また、脳科学の研究では、生まれた日から死ぬ日まで、脳内では神経ネットワーク(細胞のつながり)がつくられ続けていることがわかっています。つまり何歳になっても、いつからでも脳細胞のつながりを増やせるということです。脳細胞のつながりが増えれば、脳は成長していきます。こういった脳が変わる可能性のことを「脳の可塑性」と呼びます。
ですから、気になる行動を起こしている子どもの今の状態が、20歳、30歳までずっと続いていくということはありません。子どもが発達障害の診断を受けると、親御さんの中にはショックを受ける方もいらっしゃいますが、落ち込む必要はないのです。ここから子どもと一緒に脳を育てていこうと、前を向いていただけたらと、思っています。
また、お子さんの今の行動が発達障害もどきからくるものであれば、生まれつきの脳の凸凹(発達障害)とは事情が少し違うので、変化の速度は速いといえます。「うちの子、発達障害もどきかも」という気づきを、子どもとの暮らしを見直すチャンスにしていきましょう。
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