脳をつくり直すたった1つの方法
ここまでお読みになって、うちは小さい頃からおけいこごとをやらせすぎていた、脳のバランスがすでに崩れているかもと思ったとしても、心配はいりません。脳は何歳からでもつくり直せるからです。特に発達が目まぐるしい子どもならすぐに変わります。
では、何をすればいいのでしょうか。
その方法として、行ってほしいのが「生活の改善」です。生活を改善すると、
① からだの脳の育て直しができ、脳のバランスが整う
② セロトニン神経を育てられる
③ 睡眠が安定する
この3つのよいことが起き、発達障害もどきの子でも言動がみるみる変わっていきます。
生活改善に欠かせない3つのポイント
生活を改善するのが大事だとわかったけれど、何をすればいいのかわからないという方に向けて、ここで生活リズムを整えるポイントを3つ簡単に、お伝えします。今の自分の生活を振り返りながら、ぜひ取り入れてみてください。
1.朝日を浴びる
人の生体リズムをコントロールする体内時計は地球の自転1回分の24時間ではなく、24時間よりも少し長い時間に設定されています。そのズレを調整するためには、朝起きたら太陽の光(刺激)を目から入れて、朝であることを脳に知らせ、体内時計をリセットすることが重要です。こうしないと体内時計が狂ったままになってしまいます。また、朝日を浴びることで、脳内のセロトニン量が増え、セロトニン神経もしっかりつながります。
2.十分に眠る
質・量ともに高い水準の睡眠をとることで、生活リズムが整います。小学生の場合、22時には熟睡状態になっているのが理想なので、どんなに遅くとも22時前にはベッドに入るようにしましょう。
3.規則正しい時間に食べる
朝起きて、食欲がないとしたら体内時計が狂い、体が正常に働いていない証拠です。睡眠がしっかりとれていると、朝起きれば自律神経は活発になり、脳が空腹を意識します。規則正しい時間にしっかりと食事をとることで、からだの脳を刺激できます。特に朝ごはんをしっかり食べると体内時計が刺激され、正しく動きだします。体内時計が動けば朝食を食べた後に便が出るはず。朝の排便がないのであれば、それも昼行性動物としての体内時計が働いていない証拠だといえます。
いかがでしょうか。どれも当たり前のことかもしれませんが、実際にできている人は少ないように思います。人として当たり前の生活をすることが、すなわち、生活リズムを改善することでもあるのです。
著者プロフィール
成田奈緒子(なりた なおこ)さん:
小児科医、医学博士。神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部、獨協医科大学、筑波大学基礎医学系を経て2005年より文教大学教育学部特別支援教育専修准教授、2009年より同教授。2014年より発達障害、不登校、引きこもりなど、さまざまな不安や悩みを抱える親子・当事者の支援事業「子育て科学アクシス」を主宰。『高学歴親という病』(講談社)など著書多数。
『「発達障害」と間違われる子どもたち』
著者:成田奈緒子 青春出版社 1155円(税込)
35年にわたって子どもの脳・育ちに向き合ってきた著者が、近年増えている発達障害の子の中には「発達障害もどき」も含まれているのではないかと提言。発達障害もどきになる原因や、発達障害もどきから抜け出す方法ついて語ります。子育ての参考書としてはもちろん、発達障害の疑いのある大人とつき合う際の手引書としてもおすすめです。
イラスト/秋葉あきこ
構成/さくま健太
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