40歳以上の日本人の8割が歯周病!
40歳以上の日本人の8割に当てはまるという歯周病は、歯と歯ぐきの隙間の歯周ポケットで歯周病菌が増殖して起こります。歯ぐきに腫れや出血が生じて、やがて歯を支えている骨が溶けて歯が抜けるという病気です。痛みを感じないので、気づくと進行し、歯を失いかねないという恐ろしい病気でもあります。また、口臭の一番の原因は歯周病ともいわれるほど口臭も強くなります。
この歯周病には「バイオフィルム」(食べかすと細菌が結びついたぬめり)が関係しています。歯と歯ぐきの隙間に、歯周病菌のバイオフィルムができると、歯ぐきに炎症が起きて、歯との隙間が広がり、歯周ポケットがつくられます。歯周ポケットの内部は酸素が少ないため、酸素が苦手な「嫌気性菌」である歯周病菌が増殖し、ポケットは徐々に深くなります。すると、さらに酸素の少ない空間ができ、増殖しやすくなります。
歯ぐきに炎症が起こると、出血が起きます。フロスや歯間ブラシを使うと、毎回出血するという方は要注意です。歯周病菌の大好物は、鉄やたんぱく質。血中にはこれらが含まれているため、出血すればするほど、歯周病菌にエサを与えていることになります。
虫歯の原因菌は、乳歯が生えるころに定着するのに対して、歯周病菌は中学生ごろから口の中に定着します。この2つに時間差があるのも特徴です。
今から40年ほど前には10数種類の嫌気性菌が歯周病を起こすといわれていたのですが、最近は700種類ほどが関わっているとされ、さらに歯周病に関連する菌は病原性の違いによって6つのグループに分かれ、ピラミッドのように上下関係を持っているとわかってきました。研究モデルではグループが色分け表示され、その頂点に位置する病原性の高い3菌種は赤で示されているため、「レッドコンプレックス」という呼び名がつきました。
この3菌種が存在すると重度の歯周病になりやすいのですが、中でも最強の悪玉菌はポルフィロモナス・ジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis=P.g.菌)。これが血中に入ると動脈硬化を引き起こすなど、全身疾患にもかかわるという報告もあるほど厄介な菌で、口の中にP.g.菌がある人は、歯周病が重症化しやすいこともわかっています。そのため、歯周病の治療をしても改善しない人は、菌種を調べることもあります。
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