「黒い服を着た日の私、なんだかいい感じ」――黒のしゃれ見え効果は、きっと多くの女性が実感ずみなのではないでしょうか。と同時に、「無難」「老けて見えそう」「重圧感が心配」というのも、また本音。大人の「なんとなくの黒」は、実は落とし穴も多いのです。

装いのアイテム数が少なくなるこれから季節に向けて「黒のおしゃれ」がもっと素敵に、もっと楽しく、そしてもっと好きになるように、スタイリスト斉藤くみさんとファッションエディターの松井陽子さんが徹底分析していきます。第1回目は、長所と短所から見る、「黒」が大人にいい理由を考えてみました。

 

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長所と短所が表裏一体の「黒」。

大人がおしゃれに着こなすコツは「素材の重ね方」

松井 陽子
湘南・鵠沼海岸在住。女性誌、広告などを中心に活動するエディター&ライター。波と時間があれば、サーフィンを楽しむ毎日。家族は藍染師の夫と20代2人、10歳の3人の子ども、そして猫1匹。身長161㎝。instagram:yoko_matsui_0628

斉藤 くみ
1977年生まれ、身長166センチ。モードからリアルクローズまでトレンドをおさえたスタイリング提案に定評がある。ファッション誌を中心に広告、カタログ、女優、アーティストなど幅広いジャンルから厚い信頼を寄せられている。新たなブランド「NAVE」「AFFECT」のディレクターとしても活躍中。インスタグラム@stylist_kumisaito_

松井さん(以下、敬称略):冬のマジックアイテムに続いて、今回またくみちゃんとご一緒できてうれしいわ。どうぞよろしくお願いします!

斉藤さん(以下、敬称略):私もです、陽子さん。うれしいです! そして、初夏の黒、大人には特に素敵なテーマだと思いますよ。

松井:陽射しが眩しくなる季節に、影のような黒をまとうのって、なんともリッチでエレガントに見えるのよね。

斉藤:黒は大人の女性の味方ですよ。特に今年は、黒と一言で言っても素材のバリエーションがとっても豊富。いろんな黒が楽しめるからこそ、より注目してほしいなって思って。大人の女性の柔らかい雰囲気と、黒のキリッとした感じ。その真逆なムードはやっぱり断然素敵! これを機に黒の魅力を再認識してもらえたらなって思います。

松井:確かに。夏に黒を選ぶのは、素肌の生っぽさとキリッとした黒、そのコントラストがセンシュアルで、嫌味のないヘルシーな女っぽさを引き立ててくれるのよね。あとはやっぱり、黒ならではのシャープな切れ味かな。

斉藤:その通り! ふんわりと緩んできた体のラインもすっきり見せてくれるのは黒効果。特に夏に向けて、装いのアイテム数が少なくなるので、存在感のある黒が入ると、全身の印象がぐぐっと締まります。それが逆に、黒が強すぎるという印象につながってしまうこともあるのですが。

松井:ほっこりはしないけれど、逆に、強そう、怖そう、とかね。

斉藤:大人ならではの圧が強調されてしまうという心配ですね(笑)。あとは、黒って影の色でもあるから、無難や地味にも見えてしまったり、老けて見えそうという声もありますね。でも、それも実は合わせやすいということでもあるわけで。黒の長所と短所は表裏一体でもあるんですよ。

松井:それはそうよね。無難ということは、合わせやすいということであり、悩まずに組み合わせられるということでもあるわけで。

斉藤:無難、地味で終わらないためには、素材の組み合わせやポイントになるデザインをどう取り入れるか。こう書くと難しく聞こえてしまいそうですが、そんなことはなくて。合わせやすい黒だからこそ、うまくまとまって、美しい奥行き感が生まれ、おしゃれをこなれさせてくれるんです。

松井:なるほど……! 

斉藤:言葉で説明していてもあれなので、コーディネートでお見せしますね!