「チルゼパチド」の効果、対象者は?
山田:そもそもこの薬は、糖尿病の治療薬として使用されているものです。肥満の治療薬としても、生活習慣介入をしても効果がないBMI30を越える肥満の方や、2型糖尿病のある方などになるでしょう。
編集:なるほど! 美容体重を目指して注射を受ける、という薬ではないのですね。ちなみに、なぜ「最強の痩せ薬」と表現されているのでしょうか?
山田:日本と違い、肥満はアメリカではありふれた健康問題です。この課題を解決する術が必要なのですが、今までの薬では、体重減少への効果は限定的でした。肥満の改善が難しい場合、体に大きな負担のかかる減量手術などが選択されることが多かったのです。
編集:アメリカで、肥満で歩くことすら困難な方などが、減量手術を受けるドキュメンタリーを観たことがあります。手術をするためにもまずは減量の必要があるなど、大変そうだなと思っていました。
山田:減量手術は準備もすごく大変なのですが、そんな中、この「チルゼパチド」という薬は、臨床試験で示された効果が非常に大きかったのです。今までの薬とは、桁違いの体重減少率が見られたんです。
編集:そうなのですね!
山田:参加した方々の体重減少率は、15%〜20%と、薬としてはかなり大きな効果です。試験に参加されている方々のバックグラウンドもそれぞれ異なるので、単純に数字を比較することはできませんが、感覚値としては参考になります。
編集:その結果では、「最強の痩せ薬」と表現されるのも納得です。
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