新しいブランドとの出会いからも刺激をもらうことがあるのだそう。この日根岸さんが着ている「エクストリーム カシミヤ」は、まさにその1つ。

「とてもユニークなブランドなんです。アムステルダムが拠点なのですが、ジェンダーレスで、アイテムは1サイズという提案で。サスティナブルな素材というわけではないのですが、考え方やアイディアが、想像を超えてサスティナブル! このパンツも、サイドのコードを引っ張ってウエストをアレンジするのだけれど……」

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ウエストはコードで自由自在にアレンジ可能。幅はこんなにあるのに、薄手で柔らかなカシミヤ素材だからほどよい落ち感でウエストももたつかないという秀逸さ!

 

「プレスルームにおじゃますると、エイジレス、ジェンダーレスで、とっても自由でエネルギッシュなんですよ。洋服の着方もそう。色合わせもそうですし、なんだったら上下逆に合わせてもいいよ、とかね。このチームからは、こんなに自由でいいんだって、私もたくさん学ばせてもらっているんです。枠にはめたり、勝手に境界線を引いていることがいっぱいあるんだな、って。ファッションに携わっていて、自分はそういうタイプではないと思っていたけれど、いやいや違う視点ってもっとたくさんあるんだなと、彼らのクリエイティブなアイディアにいろんなことを教えてもらっています」。

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ちょっと勇気がいるけれど、パンツの裾も実はカットオフ可能なのだとか。自分に合うように、アレンジしながら着こなせるというのはとても斬新!

カスタマイズしたかのようにジャストフィットするもの。あるいは長きにわたって愛用できるもの、シーズンを超えて着続けることができたり、あるいは夫婦や家族で共有できるもの……。活用する機会が多いということは、それも突き詰めるとサスティナブルなマインドに寄り添うものと言えるかもしれません。

オリジナルのアイテムも、「もっと良くしたい」という気持ちで改良に改良を重ねているのだそう。手間と時間をかけ、着る人を思って作られたものは、きっと心にも響くものになる……そう信じて。無責任に簡単にものを作らない、作ったものは愛を持って着られ、使われるものにしたい。オリジナルのアイテムを含め、ファッションとしての感度の高さだけでなく、ロンハーマンの店頭に並んでいるのは、しっかりと思いを込めて作られた、理由のあるものばかり。

トレンドを追及するために目をつぶってきた悪循環を正面から見直し、ファッションを提案する立場だからこそできるSDGsを真摯に追求し始めたロンハーマン。

「『SDGsにピントが合わない人たちでも、トレンドを担うロンハーマンが取り組むからこそ、少し身近に思ってくれる人もいるかもしれないし、それはとても大きいこと』、そう話してくださる専門家がいらして。そうか、私たちだからこそやる価値があるんだなって、その言葉にも後押してもらいましたね」。

良いことをしようとした時に、諦めるものが多くない方がいい。楽しむ気持ちは持ち続けたい、でも無責任にはなりたくない……。時代が確実にSDGsへと向かう現在、私たちにも小さな葛藤は身近なものになりつつあります。そんな今だからこそ、おしゃれとSDGsの距離感を縮めようというロンハーマンの取り組みから感じられたこと、伝わってくるものに素直に耳を傾けたい、そう思いました。

お話の節々にどこかにふんわりと暖かいハートが感じられるのは、根岸さんのお話の中に出てくる「ワクワクする気持ち、幸せな気持ちをお客様に届けたい」という言葉に集約されているような気がしました。

ロンハーマンのこれからの取り組みを、1ファンとして楽しみにしたいと思います。同時に、何か私にもできることを探してみたい、SDGsのことももっと知りたい、そんなふうに気持ちを向けさせてくれたのも今回の収穫でした。


次回ご紹介するのは、私のワードローブの定番中の定番デニム、LEVI’Sの501。今年で150周年を迎えるという王道デニムの魅力を改めてお届けしたいと思います。どうぞお楽しみに!
 

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(右)根岸由香里(ねぎしゆかり):
リトルリーグカンパニー カンパニーオフィサー
ロンハーマン事業部 事業部長 兼 ウィメンズディレクター
2008年㈱サザビーリーグ入社。ロンハーマンの日本上陸・立ち上げ時よりバイイングを担当。ウィメンズクリエイティブディレクター 兼 バイヤーとして活躍後、2016年4月よりロンハーマン事業部長に就任。現在もウィメンズのディレクションを行いながら、ロンハーマン、RHC ロンハーマンとオンラインストア全25店舗を指揮する。
Instagram: @yukarinegishi @ronhermanjp @rhcronhermanjp

(奥)松井陽子(まついようこ):エディター&ライターとして、雑誌やカタログなどで活躍中。湘南在住。家族は藍染師の夫と、20代2人、10歳の子と猫。mi-molletで月に2回アップされる「スタッフの今日のコーデ」も人気。Instagram: @yoko_matsui_0628


撮影/目黒智子
モデル・構成・文/松井陽子
撮影協力/ロンハーマン

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