子育て支援策など、子どもに関する政策の司令塔となる「こども家庭庁」が4月1日に発足しました。岸田政権は子育て支援を最重要政策課題の一つと捉えており、予算も倍増する方針を示しています。新しい役所の誕生で、日本における子育ての環境は良くなるのでしょうか。

こども家庭庁は 子どもや家庭に関する行政を担当する役所で、内閣府の外局という位置付けになります。もともと、厚生労働省や内閣府などにあった関連部署を移管して作られました。職員は約430名で、具体的には少子化対策や保育所に関する業務、児童手当に関する業務、いじめや虐待の防止、子供の貧困対策など、幅広い仕事を担当することになります。


各省で行われていた子どもに関する業務を集約し、わざわざ1つの組織を作った理由は、縦割りの弊害を打破するためと言われています。

 

子どもに関する政策は関連する分野が広く、少子化問題や児童虐待問題などをうまく解決するには複数の省庁にまたがった業務が必要となります。一元化された組織を作ることで、部署間の利害対立などの弊害を無くし、政策のスピードアップを図ることが期待されているわけです。

冒頭にも述べたように、岸田政権は子育て支援など、子どもに関する政策を最重要課題と位置付けています。その意味では、こども家庭庁がどのような働きをするのかで、政権の評価も変わってくると見て良いでしょう。

ただ、各省から部署を集めて一つの組織を作っただけで、政策がうまく進むわけではありません。

役所の業務というのは極めて複雑で、例えば、子どもに関する業務の中には、教育行政に関連したものも多く含まれる一方、教育行政も幅広い分野にまたがっており、子どもに関する政策とは関係ない部署もたくさんあります。初等中等教育と大学教育は相互に関連することも多いですから、教育に関しては文部科学省という役所が担当した方が良いという考え方もあります。