コロナがすこし落ち着き、観光地や街にも外国人観光客が戻ってきました。皆さんも生活の中で、外国の方を目にする機会があると思います。例えばコンビニでは外国人の店員を見る機会が本当に多くなりました。厚生労働省の発表によると令和4年10月時点での外国人労働者の数は182万2725人。届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新を記録しています。

さらに、4月24日、政府は、特定の産業における深刻な労働者不足を受け、熟練した技能を持った外国人労働者が取得できる在留資格「特定技能2号」の分野を大幅に拡大する方針を示しました。「特定技能2号」という在留資格は家族の帯同が可能で、在留期間の更新に上限がなく、日本に定住して働く外国人が今後さらに増えていく可能性もあります。

一方同じく人手不足解消の目的を果たしている技能実習制度(元々は途上国への技術移転が目的)では、低賃金やハラスメント問題などが常態化しており、従業員による実習生への暴行事件も起きています。これからも日本に住んだり、働く外国人は増えていきそうですが、受け入れには課題を残しています。

日本にいる外国人と言っても、そのバックグラウンドは多様です。記憶に新しいのが、ウクライナからの避難民ではないでしょうか。昨年2022年、ロシアによるウクライナ侵攻で、戦禍から逃れるため、日本にも多くの避難民がやってきた際は、各自治体が住居を用意したり、学校への受け入れを行ったりといったサポートをしました。寄付やボランティアに参加した方もいるかもしれません。

しかし、その一方で、まったくサポートが受けられず、生活はもちろん命をも脅かされる外国人が日本にはたくさんいます。働くことが許されず、健康保険に入れず、生活の保障を全く受けられないため、実質ホームレス状態にならざるを得ない、そんな命の危険に晒される外国人を支援する人がいます。日本にやってきた外国人がどんな状況に置かれているのか、つくろい東京ファンドの大澤優真さんに話を伺いました。全三回でお届けします。第一回は日本にやってくる外国人の背景についてです。

 

大澤優真さん
1992年千葉県生まれ。一般社団法人つくろい東京ファンド生活支援スタッフ 。 主に仮放免の状態にある外国人の生活支援を担当。日々困窮者の支援に奔走する。NPO法人北関東医療相談会事務局スタッフ・理事も務め、大学で教鞭をとる(公的扶助論・福祉制度論)。社会福祉士。著書に『生活保護と外国人 「準用措置」「本国主義」の歴史とその限界』(明石書店、2023年3月発売)がある。

 


第2回「収入を絶たれ困窮するだけではない。働く尊厳を奪われる外国人の声【入管法改正・仮放免の現実】」>>

第3回「自分が断ったら、この人は死んでしまうかもしれない。公的制度の空白を埋める現場の限界【入管法改正・仮放免の現実】」>>