ステロイド過剰摂取の恐ろしさ。私たちが知っておくべきこと。
山田:つまり、たとえばある日突然そのお茶を飲むのをやめた途端、その方の体から、ステロイドがなくなってしまうことになります。
また、ステロイドが混入されたお茶を2~3杯飲む、つまり飲む量が多くなってしまうと、自分で作るよりも多い量のステロイドを飲んでいる、ということになり、ステロイドの効果が過剰にもたらされることになるのです。
編集:いろいろと恐ろしいですね。
山田:もちろん、副腎は時間が経てばステロイドの生産をまた始めるのですが、タイムラグがありますよね。その間、血糖値や血圧の維持をしてくれていたものが急になくなると、血圧がストンと下がってしまったり、血糖値が下がってしまう、場合によっては命に関わることもあります。
編集:そんな危険性があるお茶が販売されていたこと自体が怖いですが、友人や知人に勧められたら、買ってしまっていたかもしれません。効果を感じられた方も多かったようですね。
山田:ステロイド自体は優れた薬ですので、お茶を飲んで花粉症やアトピーの症状、目のアレルギーが良くなる可能性はもちろんあります。ただ、長期でみた場合、副作用のリスクが高いのです。量が過剰な場合、様々な問題を引き起こすことが知られています。白内障や緑内障、筋肉を弱くする、血糖値や血圧の問題、感染症に弱くなる……。ステロイドは、病気で本当に必要な時に、医師の慎重な管理下のもと処方されるべきです。
編集:市販の健康食品は、効果などに惹かれて購入する前に、しっかりと考えたいと思います。
山田:そうですね。薬にとって代わるような効果が謳われている商品は、購入する前に一度立ち止まって考える必要がある、という学びを教えてくれる一件だったのではないでしょうか。
編集:はい。今日は、ステロイドの役割についても、あらためて学ぶことができました。ありがとうございました!
<新刊紹介>
『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』
著:米マウントサイナイ医科大学 米国老年医学専門医 山田悠史
定価:本体1800円(税別)
講談社
Amazonはこちら
楽天ブックスはこちら
高齢者の2割には病気がないことを知っていますか? 今から備えればまだ間に合うかもしれません。
一方、残りの8割は少なくとも1つ以上の慢性疾患を持ち、今後、高齢者の6人に1人は認知症になるとも言われています。
これらの現実をどうしたら変えられるか、最後の10年を人の助けを借りず健康に暮らすためにはどうしたらよいのか、その答えとなるのが「5つのM」。
カナダおよび米国老年医学会が提唱し、「老年医学」の世界最高峰の病院が、高齢者診療の絶対的指針としているものです。
ニューヨーク在住の専門医が、この「5つのM」を、質の高い科学的エビデンスにのみ基づいて徹底解説。病気がなく歩ける「最高の老後」を送るために、若いうちからできることすべてを考えていきます。
構成/新里百合子
山田悠史先生のポッドキャスト
「医者のいらないラジオ」
山田先生がニューヨークから音声で健康・医療情報をお届けしています。
以下の各種プラットフォームで配信中(無料)です。
ぜひフォローしてみてくださいね。
Spotify
Google Podcasts
Apple Podcasts
Anchor
Voicy
リクエスト募集中!
ポッドキャストで話してほしいテーマ、先生への質問を募集しています。
番組へのご感想や先生へのメッセージもお待ちしております。
以下の「応募する」ボタンから気軽にご応募くださいね!
Comment