膀胱炎の原因となる細菌とは? 感染経路、症状について


山田:最も多いのが、大腸菌と呼ばれる細菌です。腸の中に住んでいる、便に混じって出てくるような細菌ですね。尿道と肛門が構造的に近い場所にある女性の場合、この大腸菌が、膀胱に入りやすいのです。通常であれば仮に細菌が膀胱内に入り込んでしまっても排尿によって細菌が流されるのですが、長い間トイレを我慢したりすると、膀胱に細菌が入りこんだままになってしまいます。

 

編集:なるほど! 膀胱に細菌が入っても、排尿によってきちんと排泄されていれば、膀胱炎にはなりにくいのですね。よく「トイレを我慢すると膀胱炎になるよ」と言われますが、その理由がわかりました。

山田:たとえば、連続で何時間も仕事をして、なかなかトイレに行くチャンスがない方などは、比較的膀胱炎のリスクが高いと考えられますよね。

編集:アパレル業界や飲食業なども、トイレに頻繁には行けないイメージがあります。

山田:その他の膀胱炎の原因としては、性交渉が知られています。性交渉後には尿意がなくても排尿をして、膀胱を空にすることが大切ですね。

編集:なるほど。トイレには頻繁に行って、清潔にしていることが大切ですね。ちなみに膀胱炎といえば頻尿などの不快な症状が思いつきますが、他にはどんな症状がありますか?

山田:尿の回数が多くなってしまう頻尿の他には、残尿感、排尿時痛などの症状があります。また、このような症状に加えて高熱が出た場合には、「腎盂腎炎(じんうじんえん)」といって、腎盂(じんう)という、腎臓の中で尿を膀胱へ送り出す部分やその周囲の組織までが細菌に感染している可能性もあります。

編集:怖いですね……。仮に膀胱炎になってしまった場合、治療はどのように進めていくのでしょうか?

山田:基本的には、抗菌薬の服用です。多くの場合、3日間〜5日間の治療で症状が良くなることが多いですね。抗菌薬なしで、放置していたら自然に治ってしまった、という方もいます。