年をとると、妻の手のシワまで好きになる

 

――コロナのお話が出てきましたが、コロナ禍はどんなふうに過ごされていたんですか。

家で料理をつくってましたね。

――藤さん、料理をなさるんですか。

飯づくりは好きなんですよ。趣味と言っていいくらい。コックの役なんかやったりするから、シェフに習ったりもしていて、もともと多少は知ってるんですよ。で、コロナが始まってから本格的にやりはじめて。と言っても、煮物だとかが中心で、洒落たものはできませんが。

 

――藤さんくらいの世代だと、「男子厨房に入らず」のイメージだったので驚きです。

最初はね、妻も鬱陶しかったみたいですよ、やっぱり自分の場所だから。それをこっちが多少料理人の修行をしてるからってね、ズカズカと上がりこんで、使い終わったらピカピカにして。それを見て、もうやめてっていう顔をしていましたけど。今は妻も年をとってきたからか、好きにやらせてくれてますよ(笑)。

最近はベーコンをつくるのにハマっていて、燻製器を買ったんですよ。まだピカピカでね、今日この取材が終わったら、初めて燻製器を使ってみようと思っているところです。

 

――藤さんと言えば、愛妻家としても有名です。ぜひ奥様から長く愛され続ける夫であるために大事にしてきたことを教えてもらえますか。

「ありがとう」と「すみません」。この2つですよね、やっぱり。1日何回「ありがとう」って言うかわからない。もう癖になってますね。だって減らないもん、いくら言ったって、「ありがとう」は。「すみません」はできればなるべく言いたくないんだけど、やっぱり怒らせることはあるから、そのときはもう謝るしかないよね(笑)。

――夫婦共に過ごしてきて、今の年齢になり、改めて夫婦のあり方に変化を感じるところはありますか。

年とって変わりましたよ。より大事になります、お互いね。その手のシワいいよ、好き、みたいな感じ。

――言うんですか。

言わないよ(笑)。内心でね、そう思っているの。手のシワ好きなんて言ったら引っぱたかれるよ(笑)。

――シワまで愛しくなる関係って純粋にいいなと思います。

飽きないからね。本当に嫌だったら別れるもん。ずっと長く一緒に過ごしていると、いい感じになってくるんですよ。一種の中毒状態です。味噌汁の味噌みたいなもんで、ないと味噌汁にならない。つまりそれは生活にならないとも言える。夫婦というのは、最終的にはお味噌みたいになってくるんだなと最近実感してますね。