「がんばり屋さん」における向き・不向き


さて、ではまず、管理職になる、昇進する、という物語が向いてない方について考えてみましょう。管理職の打診を受けやすいのに向いていないタイプとしては、褒められることで満足できるがんばり屋さんタイプです。このようなタイプの方は上司にも組織にも協力的なので、組織のマネジメントを任せても大丈夫……と運営側に評価されがちです。
ですが、このタイプの方の感性としてはがんばってきちんと仕事をしていることを褒めていただいていれば十分満足です。なので、もうこれ以上の評価はいらないのです。
また、責任のある立場になってしまうと、働きがいも失うかもしれません。なぜなら、良くも悪くも褒めていただく立場ではなく褒めてあげなければならない立場になってしまいます……。
このようなタイプの方は「私は上司と組織を下から支えていることが喜びです。マネジメントではなく、実務でお力になれると嬉しいんです。今のままでいさせてください。」とご自身の感性と組織のメリットの接点を強調してお断りになるのが良いでしょう。

一方、おなじがんばり屋さんでも、褒めていただくだけではなく、感謝される、尊敬されることに喜びを感じられるタイプの方は違います。褒めていただくだけでは、何かが物足りないのです。
こういうタイプの方は、管理職や昇進のお話を頂いたら、お受けするのも良いかもしれません。なぜなら、部下を持つことで部下をより幸せに働かせてあげられる権限がついてくるからです。あくまでも、部下が良識ある人という性善説前提の話ではありますが、より高い次元で人の力になれるのです。
責任が重くなるということは言い換えれば、人の力になれることの幅が広がるということです。この幅の広がりを自分の喜びにも活用できるタイプの方は、周りの部下もご自身も幸せにできる役職者になれることでしょう。


職人気質における向き不向き

また、がんばり屋さんというよりは、少々一匹狼気質、職人気質タイプの方もいらっしゃることでしょう。このタイプの方は、人とは違う発想力を発揮するとイノベーションを起こしてくれる役として期待されてマネジメント的な役割を期待されることがあります。

このタイプでは、仮に職場環境や事業フローを「もっとより良くできる」ことに喜びを感じる方であれば積極的に管理職や昇進のお話を受けると良いでしょう。小さなところからでも、もっとより良く出来たときの達成感や喜び、時にはそれを部下と分かち合う……など、役職にあるからこその喜びを得られることでしょう。

ですが、「もっとより良く!」の喜びよりも、「うまくいかなかったら……」の不安を強く感じる方は慎重になったほうが良いでしょう。常に責任から派生する不安に苛まれて、ご自身も周りも幸せになりにくいからです。こういうタイプの方は「私は責任を重く感じやすいタイプなので、マネジメント役ではなく今の立場でお役に立ちたいのです。」と組織や上司と対話をして見ると良いでしょう。対話を通して相互理解が進むことで、組織があなたの活かし方をわかってくれる場合があります。

 


向いている方は、もっと積極的に考えてみてください。


管理職になる、昇進する、今回はがんばり屋さんタイプと職人気質タイプにおける向き不向きをご紹介してきましたが、役職につくからこその喜びもたくさんあります。その喜びを楽しめる方であれば、積極的に管理職や昇進のチャンスを検討してもらうと、ご自身だけでなく、周りも幸せにできることでしょう。この記事が、「責任が……」、「忙しくなる……」、などのステレオタイプ的な視点だけでなく、広く捉えていただけるきっかけになれば幸いです。

文/杉山崇
イラスト/池田マイ

 

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