歯周病はどんな治療をするの? 
自宅でできるセルフケアはある?

30歳以上の約8割がかかっている?見た目ではわからない歯周病の落とし穴_img0
 

今回担当してくれた歯科衛生士さんに具体的な治療法や今後、歯周病にならないホームケアについて聞いてみました。

 


――歯周病の治療はどんなことをするの?

まずは歯の表面に付着した歯垢(プラーク)や歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)に入って固まった歯石を取り除きます。さらに歯周ポケットが深い部位には外科的な処置や薬を注入することもあります。


私の場合、奥歯の4本の歯茎が下がってしまい、隙間が空いているためその治療もおこなうことになりました。
治療は上下左右の4回にわけて歯にまとわりついた硬いプラークを削ぎ落とし、歯茎が下がっているところに薬を注入して細菌を死滅させます。ガリガリと歯石を削るため局部麻酔は必須。だから治療中の痛みはないのですが……その音とその衝撃はかなりのもの。
 

――歯石がつきやすいタイプや傾向はある?

歯磨きをしない人、怠っている人はもちろん、喫煙も口腔環境にはよくありません。他には甘いお酒を飲む人。最近はやっているフルーツフレーバーの缶チューハイやカクテルも糖分が多いので気をつけましょう。唾液が少ない人、ストレスの多い人も注意して。

食べものとの関連性も高く、特にあめやチョコレートなど溶けるまで時間のかかるものは糖が歯につきやすくなります。ケーキ・スナックをはじめとした糖質の多いお菓子、また、パンや麺類などの小麦粉類は粒子が細かく歯周ポケットに入りやすいんです。ナッツやアーモンドなどの歯に詰まるような食材も気をつけてください。
こう話すと「食べられるものがないじゃん」と言われるのですが、食べた後にきちんと歯磨きをすればいいのです。
 

――寝る前にハイボールを1杯が好きなんですけど……

飲んでもいいですが、その後に歯磨きをすること。甘くないから大丈夫だろうとお思いですが、カロリーもありますし、炭酸を過剰に摂取すると歯を溶かしてしまうこともあるんです。歯に良くない習慣は改めること。水・麦茶やお茶などを除き、それ以外の飲み物を口にしたら歯を磨いてください。
 

――自宅でできるケア法はありますか?

歯ブラシとデンタルフロスのダブル使いを習慣化しましょう。歯並びが悪い人は歯ブラシだけではケアが行き届かないため、フロスで食べ物のカスをしっかり掃き出しましょう。
「歯ブラシとフロス、どちらを先にしたほうがいいですか?」と聞かれることがありますが、実は私たち歯科衛生士でも意見が異なるんです。ですが、どちらが先という決まりはなく、ご自分の好みでOK。

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治療前・後の検査表を見比べると一目瞭然。真ん中から奥歯にかけては平均して1〜2ミリ以上の改善が見られ、さらに出血も少ない。

4回の治療を経て改めて検査をすると前歯は2ミリ、真ん中の歯もほとんどが3ミリで奥歯も4〜5ミリと改善が見られ「ホッ」。先生からも「歯磨きとフロスの効果が早くも出ていますね」とお褒めの言葉をいただきました(これはかなり嬉しい〜)。

丸尾先生や歯科衛生士さんは度々「日本人は歯のケアをしなさすぎ」と話していました。「ヘアサロンやネイルサロンに行くように歯も定期的にメンテナンスをすれば健康でいられるし、たとえ治療するとしても高い治療費を払わずに済むんです。長い目で考えると口腔内ケアというのはすごく価値のあるものなんです」(丸尾先生)。

令和7年度を目処に「国民皆歯科検診」制度の導入も検討されているとのこと。これを機に歯のケアについて考えてみてはいかがでしょうか?
 


イラスト/Shutterstock
取材・文/長谷川真弓
構成/國見 香

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