「やりたいことは次々と出てきてきりがないけれど⋯⋯、うん。やり残したことはない」。これは、日本初のキャリアデザインスクール「我究館」の創設者・杉村太郎さんが、47歳の若さで亡くなる前に残した言葉です。どうすれば「やり残したことはない」と言える生き方を実践できるのか。妻・杉村貴子さんはそんな生き方を探求する中で、「ウェルビーイング」=「満たされた幸せな人生」という考え方に出会います。

貴子さんの著書『たとえ明日終わったとしても「やり残したことはない」と思える人生にする』では、いくつもの「質問」に答えていくと、自分が大切にしたい価値観や強み、喜びや楽しみ、幸せといった、悔いのない人生を生きるために必要なことが見えてくるようになります。今回はその質問の中から5つを抜粋しました。
まずは各質問の回答を考えてから、その先を読み進めてくださいね。
 

質問① 世界一周旅行のチケットが当たったら、だれと行きたいですか?

トルコのカッパドキアで気球に乗って昇る朝日を見る。
フランスの世界遺産、モン・サン・ミッシェルで名物のオムレツを頬ばる。
エーゲ海に浮かぶサントリーニ島で真っ白な建物がオレンジ色に染まる光景を眺める。
ニュージーランドのテカポ湖で世界一きれいな星空やオーロラを見る──。

 

世界一周旅行をしながら、そのような感動的な体験をあなたの横で一緒にしているのはだれでしょうか?家族ですか?それとも親友ですか?恋人でしょうか?

世界一周旅行のような人生の一大イベントに誘うのは、おそらくあなたにとって、とても大切な人でしょう。

その人は、信頼することができ、一緒にいたい、あなたの人生に欠かせない存在のはずです。

「大切な人と一緒に、もっと多くの時間を丁寧にすごせばよかった」。これは人生の最後に多くの人が後悔することのひとつです。もし自分の生きられる時間が残り少ないとしたら、大切な人とすごしたいと考えるのではないでしょうか。

だとしたら、頭に思い浮かべた大切な人との時間を今、この瞬間から大事にしてください。

長い目で見れば、人生も旅のようなものです。ただし、人生の大部分は何気ない日常の連続でもあるため、一緒に旅している人の存在に気づきにくいものです。

でも、「世界一周旅行に行くのはだれと?」と長いスパンの旅路について問われれば、思い浮かんだ人は、あなたにとって大切な存在です。

大切な人の存在に気づけたなら、感謝の気持ちを言葉で表してください。もし明日、突然の別れが訪れたとしたら、言葉にして伝えていなかったことを必ず後悔するはずです。