産後に崩壊した「女の幸せ」


「最近はこんなこと言う人は減ったと思いますが、私は『出産は女の最大の幸せ』『産まない女は半人前』『我が子は目に入れても痛くないほど可愛い』とか散々言われてきました。

無意識のうちに、出産したらようやくすべてのチェックリスト達成、それがゴールで、『そして彼女は幸せに暮らしました。めでたし、めでたし』みたいになる感覚でいたんですけど、全然そんなことなかった。そんなの、神話もいいとこです」

育ちが良く、素直な性格である静香さんは、きっと幼少期から大人の言うことをよく聞く良い子だったのだろうと話を聞きながら思いました。

恵まれた出自で、言ってしまえば人生で深刻な問題に直面することもなかったため、その世界の教えに従っていれば間違いはない。そう信じてしまうのは環境上当然でもありますが、静香さんの人生はそれほどシンプルな話では終わりませんでした。

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「結局は、世間知らずな私が悪いんですが、育児であれほどボロボロになるなんて想定外でした。結婚して子どもを産めば幸せになれると思っていたのに、現実はとんでもない。夫はまったく使えないし、母に手伝いを頼むと、彼女の思い通りに結婚も出産もしたにも関わらず、まだ小言を言われて。ずっと家にいるだけなのにシッターを頼むなんて甘えてるとか、粉ミルクはよくないとか、私は赤ちゃんの服を洗濯機で洗わなかったとか……。

極めつけは、『幼稚園はどうするの?』『2人目を作るなら早い方がいい』と。気づいたらまたチェック項目が増えてたんです」

 

産後、静香さんは想定外のストレスのせいか、髪の毛が大量に抜けカツラを被らざるを得ない状況になったり、突然の動悸・過呼吸に悩まされるようになってしまいました。

慢性的な睡眠不足に体調不良で、心身共に究極に弱っていたとき、旧友、兼ママ友の「ある誘い」が引き金となり、静香さんいわく「頭のネジが外れはじめた」のだそう。

来週公開の続きの記事では、婚外恋愛に嵌ってしまった経験、仕事の再会やボランティアに目覚めた経緯についてお話いただきます。
 

写真/Shutterstock
取材・構成・文/山本理沙
 

 

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