組閣ゴッコや家系図アピールで「世襲」に批判噴出。一部の“2世”たちが自覚していない本当の問題は_img0
イラスト:Shutterstock

岸田文雄首相の長男・翔太郎氏の忘年会問題や、臆面もなく家系図をアピールした岸信千世議員など、世襲に対する批判が高まっています。世襲が常態化した社会に弊害が多いことは当然ですが、政治の世界に限らず、現実問題として世襲やコネが一定程度、存在することは多くの国民が認めていると思います。

最大の問題は、こうした親から引き継いだ財産について、本人が十分に自覚しておらず、一般社会との大きな乖離が生じていることではないでしょうか。

 

以前、ある2世タレントが雑誌のインタビューで、「親のことばかり聞かないで欲しい」「自分は努力をして、実力で勝負しているのだ」と、不満をブチまけていました。確かに毎回、毎回、会う人、会う人から親のことばかり言われるのは辟易することでしょう。

しかしながら、芸能界というのは毎年、何千人、何万人もの人が門を叩き、その中で生き残れるのは数人という、とてつもなく厳しい世界です。ようやく番組に出演するチャンスを掴んでも、キャリアの浅い芸能人が番組内で発言できる時間はほんの一瞬しかありません。その一瞬で、多くの視聴者や関係者の興味を引く言動ができなければ、二度と出演のチャンスは巡ってこないのです。

こうした中、大勢の中の一人としての出演だったとしても、2世タレントであれば、司会者など大物芸能人から、オンエア中に「お父さんによく似ているね」などと声をかけてもらえ、視聴者や関係者の関心を引くことができます。芸能界以外でも、立場の高い人から顔を覚えてもらったり、声をかけてもらえるというのは途方もないメリットであり、こうした財産がゼロの人たちにとっては、何十億円分の資産に映ります。

ところが一部の2世たちは、自分が持っているこうした巨額の財産について無自覚です。

確かに努力をしているのは事実なのでしょうが、一般の人たちは努力した成果を他人に見せるチャンスすら与えられないのが現実です。普通の人には見えている黄金の山が本人には見えていないという点で、このタレントさんは、やはり世間一般とは感覚が乖離しているといえるでしょう。

ビジネスの世界でも、世襲やコネはよく見られます。

 
  • 1
  • 2