5月26日の対ドル円相場。写真:ロイター/アフロ

1ドルが140円を突破するなど、再び円安が進んでいます。円の動きを巡っては多くの人が様々な見解を出していますが、今後の動きについてはどう考えれば良いのでしょうか。

市場というのは多くの参加者による予想の集合体ですから、将来、相場がどう推移するのか完璧に予測することはできません。しかしながら、市場の動きについて分析するコツは存在しています。そのコツとは「大きな流れ」と「個別要因」を分けて考えるというものです。

 

為替が動く時には、大抵の場合、原動力となる「大きな流れ」があります。そして、大きな流れの中で、日々のニュースなど個別要因で細かく相場が動くというメカニズムで価格が形成されます。

例えばですが、大きな流れとしては円安になっていても、個別要因として円高になるニュースが飛び込んでくると、一時的に円高に振れることがあり得えます。しかし、あくまで個別要因ですから、大きな流れに変化がなければ、一定時間が経過した後は、再び円安に戻る可能性が高いとの見立てが成立するのです。

こうした捉え方に慣れていない人は意外と多く、個別要因に過剰に反応してしまい、市場全体がそれに惑わされる現象がよく見られます。困ったことに専門家の中にも、両者についてうまく切り分けられない人が存在します。

学者やエコノミストなど、大きな流れを取り扱う専門家は、理論的な部分だけに着目し、短期のトレーディングを行っているようなプロの投資家は目の前の個別要因にばかり着目する状況になりがちです。メディア関係者がそれぞれの専門家に話を聞きに行き、当該情報だけを報道するということになると、全体を上手く捉えられないケースが出てくるわけです。

こうしたことを頭に入れた上で、昨年からの円安についてもう一度、整理してみましょう。今進んでいる円安の「大きな流れ」は、日米金融政策の違いです。

 
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